ターン86 百鬼の疾風と虚無の仮面
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にか立ち上がろうとしたところで、今の戦闘中にモンスターが押さえきれなかったダメージがプレイヤーである三沢の脳へと伝わり、その刺激により彼自身が作り出した痛みが全身へと襲い掛かる。
「ぐわあああっ!」
仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー 攻3200→牛頭鬼 攻1700(破壊)
三沢 LP3000→1500
仮面魔獣デス・ガーディウス 攻3300→怨念の魂 業火 攻2200(破壊)
三沢 LP1500→400
「ぐ……はあっ……!」
先の戦いでオッドアイズ・グラビティ・ドラゴンの効果により大量にライフコストを支払った時の締め付けるような苦痛とはまるで違う、もっとシンプルで原初的な痛み。このまま痛みに全身をゆだね、意識を手放し全てを諦めてしまえば楽になれるのかもしれない。
だが、それを許せない責任感が彼にはあった。今回のダークネス戦の作戦の全ては、彼の頭の中にある。鮫島校長には多少話を通しておいたが、それでも細かいところを知るのは自分しかいない。まだやるべきことがある限り、俺が倒れるわけにはいかない。荒い息を吐きながら、全身の痛みから目を逸らして立ち上がる。
「さあ、ミスターT……!デュエルを続けるぞ……!」
「ほう、立ち上がるか。だがそれに何の意味がある?お前ももうじき、ダークネスに包まれることになる……ターンエンドだ」
「そんなこと、まだわからない!」
会話から心の闇をこじ開け、そこから侵食を始める。ミスターTの作戦だと頭では理解しつつも、ついカッとなってその言葉に応えてしまう。閉まったと思ったころには、すでに遅かった。淡々としたミスターTの言葉が、獲物を締め付ける毒蛇のごとく三沢に絡みつく。
「こうしてお前1人が戦っていても、その戦いを誰が知る?誰も知りはしない、永劫に孤独な戦いだ。誰からも感謝されることもなく、そのあげくすべては失敗してあらゆるものがダークネスに取り込まれる。ならその努力に、一体何の意味があるのかね?」
「だ……黙れ!俺のターン、ドロー!」
自分の心の中に入り込み、わずかなスキマをこじ開けようとするその言葉から必死で耳を逸らし、目の前のデュエルと自らのデッキに全神経を集中させてカードを引く。そんな状態の中、恐らくこれが最後のターンになるであろうこの局面で引いた1枚。それを見た瞬間、三沢の脳はフルスピードで回転を始めた。
そしてその先に掴んだのは、勝機。いや、それはそう呼ぶにはあまりにもか細く不安定な物だった。しかし他のどのカードでもなく、このカードでなくては引き当てられなかった勝利への可能性が、ほんのわずかにだが生まれたのだ。
「俺のフィールドには今、アンデット族の狐トークン2体が存在する。この2体の存在を道標とし、冥界の入口より罪人への迎えが現れる!出でよ
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