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ウィザード・トーナメント編 前編
「11」 その3
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分後には戻って来る。それまでは頼むよ。」


シルバはそう言い残して現場に急行した。
俺は内心ガッツポーズをしていた。
というのも俺はウィザード・トーナメントに出場するために極力怪我はしたくないと思っていた。
可能なら今晩のポイントごとの配置も別のポイントに配置して欲しかった。
ともかく、怪我がなければ俺としてはあとはどうでも良かった。
なんならシルバが犯人と交戦して怪我したとしてもどうでも良いと思っていた。
無論、シルバはそんなこと思わないだろうが。


(俺は思っちまうんだよなー。)


俺は確信を持っていた。
犯人と単独で交戦した場合、俺では勝てない。
まぁその物言いだとシルバなら勝てるのかと問われそうだが、少なくとも俺より勝率が高いのは確かだ。
今となっては言い訳にしか聞こえないわけだが。

「そういえば」という具合に思い出した俺はブリッツ学園の上空偵察部隊と再び連絡を取る。
シルバが離脱した分、警戒はより強める必要がある。
だが、既に俺は妙な感覚を感じ取っていた。
シルバがいた時とは少し空気が変わって来ていた。
変な肌寒さと誰かに見られているような感覚。

上空偵察部隊と連絡を取ろうとしたのはそんな気を少しでも紛らわせたいと思ったのもあった。
しかし、無線の向こうから聞こえてくるのはノイズ音ばかりで、そこに人の声は少しも入ってこない。
恐怖が俺の精神をジリジリと削る。

そして、俺の嫌な感覚はついに確信へと変化した。
コツ コツ コツ
一定間隔で靴の音がする。
その音は最初はぼんやり聞こえる程度で空耳かと思えたが、今ではその音を耳で完全に捉えることができる。
足音は間違いなく迫っている。
俺は耐え切れず、音のする方を向いた。
そこにいたのは...................
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