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とある3年4組の卑怯者
95 調整
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し、藤木君だって同じよね・・・)
 リリィはいい加減藤木を許そうかどうか悩んだ。

 山根と永沢は藤木が走って帰る姿を見ていた。
「藤木君、今日も走って帰ったね」
「まあ、僕らには関係ない事さ・・・。藤木君が悪いんだからさ・・・」
(藤木君、君は不幸の手紙を出して皆から嫌われたのがそんなに悲しいかい?悪いけどそんな悲しみ僕の家の火事に比べたらそんなものちっぽけなものさ・・・)
 永沢は自分の最も辛い思い出と藤木の孤独を比較した。そして、火事の事を回想して胸が痛む思いがした。
「永沢君、どうしたんだい?」
「な、何でもないさ・・・」

 藤木はスケート場に着いた。そして、早速大会に向けての調整を始めた。どのタイミングでジャンプやスピンをするか、そしてそれらはどの種類をするか、ジャンプだけでも6種類ある。これらをどう披露するか、問題だった。藤木は様々なジャンプやスピンをやってみた。どれも難なくこなした。その時・・・。
「相変わらず調子がよさそうじゃないか」
 和島が現れた。
「だがボクは凄いモノをもっているんだりキミに特別な技を見せてあげよう」
和島は滑り出し、ステップを踏み出した。そしてジャンプをする。それはシングルでもダブルでもトリプルでもない。なんと四回転だった。
(四回転のアクセルだって!?)
 藤木は流石にその技術にはお手上げだった。
「どうだ?」
「ああ、凄いよ、四回転のアクセルなんて始めてみたよ」
「まあ、ボクのお得意技さ。これ以上の技をキミにも見せて見るんだね。それじゃ、お喋りはそこまでにしてボクは自分の練習をさせてもらうよ」
 和島はそう言って滑って藤木から遠ざかった。藤木は自分のスタイルを思い起こした。自分はどんなジャンプもスピンもやってのける。ただ、自分にしかできないと言えるような技は特にはない。これでは和島には勝てないかもしれない。藤木は自分にしかできないような事を模索した。
(どうすれば勝てる?どうすれば自分だけの必殺を作る事ができる?)
 藤木は滑りながら考えたが、その日の内には答えを見出だせなかった。

 夜、藤木は母から郵便物を貰った。
「茂、スケート協会から郵便が来たよ」
「え?ありがとう」
 藤木は封筒を開けると、出場確認証だった。「当日、この確認証を係の人にお見せください」とあった。また、登録番号(エントリーナンバー)も記されていた。藤木は14番だった。また、宿泊費と交通費の請求書も同封されていて、そこに金額の記入欄があり、そこに記入して当日係の人に提出するようにあった。さらに招待券も10枚同封されていた。
(招待券・・・、そうだ、これを堀さんとみどりちゃんに渡そう、あと、父さんと母さんにも・・・)
 藤木は大会へと胸を膨らませた。

 翌日も藤木は和島に勝つた
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