91 差別化(じぶんらしさ)
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げた。リリィは自分を好きになってくれていた男子と自分が好きな男子の顔を思い起こしながら話を続ける。
「私もあなたに似た関係の人を見たことがあるわ。その人は私の事が好きなんだけど、私にも他に好きな人がいるの。でも私を好きになってくれているその人の気持ちは嬉しいし、ありがたいと思ってる。そしてその人は私が好きな人にはない自分らしさがあるの。それは私が好きな人はどんな女の子の心も受け入れるけど私を好きな人は好きと決めた人には優しくしてくれるの。私が好きな人はその自分らしさで私を好きになってくれている人もかっこいいって思えるの」
「はあ・・・」
みどりはリリィの言っていることが少しわからなかった。
「つまりね、貴方にもあるんじゃない?貴方にはあってその友達にはないものが・・・。それで魅力化すればその人も振り向くと思うわ」
「私にしかないもの・・・」
みどりはリリィの言っている意味をようやく理解する事ができた。みどりは堀になくて自分にあるものは何があるのかを考えた。自分らしさ、すなわち自分にしかできない事だ。みどりは自分にできて堀にできない事は何か考えた。そして、ある事を思い出した。堀がココアを買いに行っている間、藤木は自分にまる子にも不幸の手紙を出してしまったと告白した。そして彼女にあったらすまないと言ってくれと要請されたのだ。そして藤木が学校で卑怯者と呼ばれているという事を自分と堀に明かした時、藤木は自分にこんな卑怯者が好きになれるのかと問いかけた。その時、自分はどんな時も藤木の味方でいると言った。いつでも藤木の傍にいると言った。なら、藤木を自分なりに助けてみよう。そしてまる子に会いに行って藤木が物凄く反省していると伝えよう。みどりはそう決心した。
「リリィさん・・・、ありがとうございます。私自分にしかできない事をやってみます!」
「ええ、頑張って、みどりちゃん。またどこかで会えるといいわね」
「はい、では私もこれで失礼します。さようなら」
「うん、バイバイ」
二人は公園を出て別れた。みどりが好きな人とリリィを好きになっている人が同一人物であるという事をお互い知らぬまま・・・。リリィはみどりに話した事で藤木の事を思い出した。
(私、どうして藤木君の事を思い出したのかしら・・・。もう嫌ったのに・・・)
笹山はスケート場の前に来ていた。
(藤木君、もしかしてここにいるのかしら・・・?)
その時、ドアが開いた。藤木だった。笹山は慌てて塀に隠れた。そしてまた覗くと藤木は一人ではなかった。見知らぬ女子といる。しかも、非常に美人だ。
(藤木君・・・、私に嫌われたからってあんな可愛い子と仲良くしてるなんて・・・!!)
藤木と堀はみどりを探そうと思い、スケート場を出た。
「でもどう探そうか?」
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