番外編 ノンナ
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小さな雪将軍はプラウダ高校に念願の優勝という栄光をもたらした。全国大会において9年間は黒森峰の天下であったが、その天下を我らが雪将軍であるカチューシャが見事に打ち破った。本来なら黒森峰を打ち取り名誉ある優勝を手にしただけで終わるはずだった。しかし、その優勝は偶然でもあった。フラッグ車の前方にいた戦車が私達が撃った砲撃の衝撃で川に落ちたのだ。川に落ちた仲間を助ける為にフラッグ車を任せられた黒森峰の副隊長は指揮を放棄して川に落ちた仲間を助ける事を優先した。
そして指揮官を失ったフラッグ車は動くことはなく、止まった的に砲弾を当てて勝利を収めた。本来のルールならば戦車が川に落ちて選手の生命の危機があると判断されれば試合は一時中断となるが試合は続行されていた。皮肉にもそのお蔭で私達は勝利する事が出来たのだ。
話は戻るが本来なら私達は優勝して同志達と勝利を喜び合う事だった。しかし、黒森峰の副隊長は仲間を岸まで一人、また一人と運んで救助しており、試合よりも仲間を第一と考えるその志は立派であった。だが、最後の一人を救助した所で力が尽きたのか、増水した川の流れに黒森峰の副隊長は飲み込まれた。そしてようやく事態の深刻さを理解した戦車道連盟は直ぐに救援隊を派遣して黒森峰の副隊長の検索に乗り出した。
戦車道連盟の救援隊だけでなく、この時はカチューシャの命令でプラウダの偵察隊も救援隊として参加して黒森峰の副隊長の検索に協力した。大規模の検索のお蔭か直ぐに黒森峰の副隊長は発見されたが事体は最悪であり心肺と呼吸が停止しており、直ぐに救命処置が行われたが回復することはなく、病院に直ぐに搬送されたがそれでも結果は変わらず医者より非情な判断が下された。
『西住みほ・事故死』
これを聞いた時の私は訳が分からなくなり正気を失いそうになった。だが、私が正気を保てたのも西住みほが搬送された病院にてカチューシャが取り乱した事で正気が戻り、カチューシャを宥める事で自分の正気を保つことが出来た。
それからしばらくして、あの大会における戦車が川に落ちた事は不良の事故であり、人為的に起こされたものではないと判断されて私達に特にお咎めはなかった。そして今回の優勝を勝ち取って高い功績を得たカチューシャが次の隊長に選ばれたが、私はこの人事がカチューシャにプラウダ高校の罪を擦り付けたようにしか思えなかった為に、私は前隊長に対して抗議しようとしたが、これをカチューシャが止めた。
「やめなさいノンナ」
「ですがカチューシャ!」
「この地位はカチューシャが実力で得た物よ。ノンナが口を出す事ではないわ」
そう言われては私は何も言えない。これからプラウダ高校の隊長となるという事は茨の道を進むに等しい行為だ。実際にあの大会の後に起きた黒森峰の事件は青森にまで届いている。現
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