暁 〜小説投稿サイト〜
フルメタル・アクションヒーローズ
特別編 ファースト&ネクストジェネレーション
第1章 ヒルフェマン・ビギンズ
前編 古我知剣一の追憶
[1/4]

[8]前話 [1] 最後
 今より、少し昔。日本では大きな災害はが起き、多くの命が奪われた。
 愛する母を、その災厄で喪った一人の男は己の非力を嘆き、ある研究に没頭する。

 人を超える力を得る、機械の鎧。
 それを纏う者に、この先の未来で危機に晒されるであろう人々の希望を託すべく。

 ◇

 ――二◯二四年。
 アメリカ合衆国某州。

 砂漠地帯に敷かれた一本のアスファルト。その道を突き抜けた先に広がっている小さな田舎町を、黒のレザージャケットを纏う一人の少年が歩いていた。
 彼の両手は薄茶色の紙袋と、その中に詰め込まれた大量の食料や飲み物で塞がっている。

「……あ!」

 ふと。寂れたモーテルを通り掛かる彼の目に、そこに溜まっていた三人組の男達が留まった。

「おっ、ケンイチか。今日も買い出しか? 大変だなァお前も」
「あはは、しょうがないよ。僕は本当の子じゃないしね」
「家族がいるだけマシに思っとけよ。ま、いない分自由に過ごせると思えば、あながち悪いもんでもないがな」

 屈託のない笑みを浮かべ、三人組が少年の周りに集まってくる。彼らはこの片田舎で暮らす孤児であり、少年――古我知剣一の友人達だった。
 彼らは身寄りもなく、日雇いの仕事でその日暮らしの毎日を送っている貧民だが、そんな生い立ち故か仲間意識が人一倍強く、血の繋がった家族のいない剣一にも好意的に接している。

「しかしすげーよな、お前んち。人命救助のためのパワードスーツ? なんてSFみたいな代物作ってるんだろ?」
「いいよなー、お前は着たことあんのか? ソレ」
「ううん、全然。僕なんかが触れるようなような物じゃないからね」
「そっかー……こんだけ骨折ってんだから試運転くらいさせてくれたっていいのにな」
「ははは……」

 思い思いに語る三人組に、剣一は聞き手に徹しつつ苦笑いを浮かべている。

「けどよ。お前もそろそろ、ピストルの一丁くらいはぶら下げといた方がいいぜ。なんもないこんな田舎町だけど、近頃やべー強盗もうろつき出したって噂だ」
「そうなんだ……確かに、ちょっと怖いね」
「お前んちも酷だよなー。そんな買い出しさせといて、護身用のハジキ一つも寄越さないなんてよ」
「あはは……まぁ、僕なんて狙う価値もないし」

 ――彼はこの時、嘘をついていた。

 剣一は幼少の頃、救芽井家に孤児院から引き取られて以来、ここから数十キロ離れた山中にある研究所で暮らしており――十七歳の若さにして「救済の先駆者」のテストを任される秀才であった。

 今も右手首には――そのスーツを粒子化し内蔵する「腕輪型着鎧装置」が巻かれている。いざという時の「実践テスト」のために装備している、ピストル以上の自己防衛手段だ。

 非常時にはそれを使い、人命救助を行
[8]前話 [1] 最後


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ