暁 〜小説投稿サイト〜
フルメタル・アクションヒーローズ
最終話 辿り着いた意義
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
こだろ」
「ぎく……」
「あのなぁ、先輩の顔を立てようってんだろーが……バレバレなんだっつーの。何年の付き合いだと思ってやがる」
「うう……ごめん」
「ま、そこがいいところになることも、たまーにあるけどさ」

 恥ずかしそうに頭を掻く真里は、上目遣いで幸人を見上げ、舌先をぺろっと出す。
 そんな彼女に対し、幸人は相変わらずの仏頂面の中に微かな笑みを滲ませ、首を振る。

「才羽くんもごめんね? お昼ご飯、一緒に食べる約束だったのに」
「いえ。こちらこそ、生徒会長の昼食に立ち会えることを許可して頂き、至極光栄に存じます」
「だ、だからぁ、そういう畏まった感じはやめてぇ! そもそも誘ったの私だし!」
「おーおぉ、赤くなっちゃって。こりゃほっといたらガキでも仕込みかねないなぁ」
「恵ぃぃい!」
「そうですか。しかし佐々波様は未だ学生の身。世継ぎのことをお考えならば計画的に……」
「才羽くんも乗らないでえぇ! 楽しんでるでしょ!? この状況楽しんでるでしょっ!?」
「はて、何のことでしょうか」

 昼下がりの中庭を舞台に始まった、平和なひと時。そこから始まった遣り取りの中で、才羽幸人は確かに。
 自分のヒーローとしての意義を、噛み締めるのだった。

(父さん。オレは、やっと……)

 季節は夏。恋が始まるこの時の中で、新たな日々が幕を開けた。
 ヒーローの物語は終わったけれど。才羽幸人の物語は。佐々波真里の物語は。玄蕃恵の物語は。まだ、終わらない。

 この先もずっと。続いて行く。

 ◇

「……へぇ。ヒーローを降ろされてしょげてるかと思ってたが、意外と元気じゃん」
「もうその辺にしておけ。才羽先輩の様子を確認するというのが、茂先生の命令だ。私生活まで盗み見るものじゃない」
「わぁってるよ。人を盗撮魔みたいに言うんじゃねぇ」

 ――その頃。聖フロリアヌス女学院の校庭を、遥か遠くから二人の少年が見つめていた。
 遠方に聳え立つ高層ビルの屋上から、双眼鏡で才羽幸人を監視する短身の少年は、吹き抜ける風に金髪を揺らす。

 その傍らに立つ長身の少年は、黒髪を靡かせて踵を返し、この場から立ち去り始めた。そんな彼を追うように、短身の少年も双眼鏡を懐にしまい歩き出す。

「まぁ、アレだ。仮に任期満了じゃなかったとしても、外部に身バレしたってことで遠からずヒーローはクビになってたろうな。あの人らしくねぇ幕引きだが」
「俺達も油断していると、思わぬミスでバレるかも知れん。特に、お前は何かと迂闊だからな」
「うるせぇ。もしお前が先にバレたら『ばっきゅんきゅん☆ミニスカポリス』のブルーレイボックス没収だからな」
「フン、ならお前がバレた時は『ぷすっとおちゅうしゃ☆ミニスカナース』の限定フィギュアを貰おう
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ