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フルメタル・アクションヒーローズ
第8話 動き出す状況
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理不尽ッ!」
「そん、な」
「許されない、絶対に許さない! どんな力に守られていようと、その全てを引き剥がし、掻い潜り、あんたを裁く! ……それが、一ヶ月の苦しみから私達が見つけ出した結論よ!」
「……さぁ、私達が苦しんできた痛みを、怒りを、わかりやすく教えてあげるわ。下賤な庶民の頭でも、理解できるようにね」

 縛られ、身動きが取れない真里を完全に包囲する美夕達。暗闇に飲み込まれるような感覚に陥った真里は、瞼から雫を溢れさせながら、懸命に助けを呼ぶ。

「だ、誰か……誰かぁあぁあ!」
「アッハハハ! ここがどこだかわかってんの!? ただでさえ滅多に生徒が近づかない旧校舎の、最上階の最奥なのよ! 誰を呼んだって来やしないわ!」

 だが、叫びは届かない。届かせるにはここは、あまりに遠すぎる。
 孤立無援の状況に突如立たされ、絶望に打ちひしがれる真里を嘲笑う、美夕の叫びだけが、この空間に木霊していた。

 ◇

「いや、その……大した用じゃねぇんだ。ただちょっと……な」

 その頃。中庭の整備を続けながら、恵が何かを話す時を待ち続けている幸人は、要領を得ない彼女の様子に、小首を傾げている。
 そんな彼の顔色を伺いながら、恵は深呼吸を繰り返し、いざ言葉にして伝えるべく、彼と正面から向き合った。

「な、なぁ、才羽。一昨日のことなんだけどさ」
「はい。植木鉢の件のことですか?」
「そ、そうそう。あの時は、疑うようなこと言っちまって、済まなかった。……ありがとう。真里を、守ってくれて」
「そういうことでしたか。……当然のことをしたまでですよ。気にかけて頂き、こちらこそ感謝の言葉もありません」

 何食わぬ顔で、幸人はいつも通りにそう言ってのける。確かに「救済の遮炎龍」の力を持つ彼にとっては、造作もないことだったのだろう。
 だが、少なくとも。

「……当然、なんかじゃねぇよ。少なくとも、アタシにとっちゃ全然違う。危うくアタシは、一番大切な奴の笑顔を、失うところだった」
「……」
「なぁ……! アタシは、ずっとあいつの笑顔を守りたい! あんたもそうだってんなら、任期が終わってもずっと一緒に……!」

 恵にとって、幼馴染の笑顔は本当にかけがえのないものだった。それが失われるようなことなど、決してあってはならない。
 その想いに突き動かされるまま、恵は幸人の袖を掴む。まるで、何処かへ行ってしまいそうな彼を引き留めるように。

 そんな彼女の必死な姿に何かを感じた幸人は、彼女の考えの全てを知らないまま、その真摯な瞳を見据え、言葉に耳を傾ける。

 だが……その続きは、聞けなかった。

「……!?」
「な、なんだぁ!?」

 突如鳴り出した警報。火災報知器の作動を意味する、そのサイレンが彼ら
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