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呪われた喫茶店
呪われた喫茶店
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ねた、いや、むしろ茶化していたのだ。
「君が、猿飛 佐助(さるとび さすけ)を、そんなに尊敬しているのか? ふーん。ソリャ知らなかったよ。……講談や小説などに登場する架空の忍者だろ?」
 祐樹は、小さくクスッと笑いながら、子供に優しく諭≪さとす≫ような、口調で言った。
「そう言うなよ。バーカ。……でもなー、猿飛 佐助は実在の人物かも知れない、と言う説もあるぜ。彼は、真田幸村に仕えた真田十勇士の一人だった。伊賀忍者、霧隠才蔵≪きりがくれ さいぞう≫は、彼のライバルでもあったらしい。大坂夏の陣で徳川方に敗れた後、幸村と共に薩摩に落ちのびた。そんな説すらある!」
「へー、ほんとかよー! 俺の勉強不足だなー。……お前は、博識だよ。お前には、多角的な目があるに違いない、と思うよ。様々な角度から、物事の本質を捉えられるのだからなあ。まあ、いずれにせよ、凄いよ、お前は! どこから、そんな話を仕入れてくるんだい。いやーマイッタ、
マイッタ、マイッタ、マイッタ! はい、ようこそお越しいただきました。遠い所からお寺に『お参り』くださいました。ぜひ、冷えた麦茶と和菓子を、召しあがってくださいな」
 笑顔を見せて、祐樹は答えた。
「つまらん。お前の話は、実につまらん。ワハハハ、ワハハハ、ワハハハ、ワハハハ……腹の皮が破けそうだ。もう、冗談は止めてくれ。お願いだよ! 俺様の博識は、……まあ、様々な本とか文献から仕入れた知識だよ。お前も、もっと、もっと本を読めば良いだけのことさ。泥棒は、金品を盗っていくが、脳にある知識・教養には手出しできないさ。だだし、殺されなければという前提があるが……」
 周囲に多くの学生達がいた。けれども、一切構わず、互いの顔を見つめて二人は大声で笑い合った。
祐樹は、身長が百八十三センチもあるイケメンであり、時たま家の鴨居で頭を打った。
顔の彫が深く目鼻立ちがはっきりしているが、チョーが付くほどにはイケメンでもない。オウトドアー派で、筋骨たくましく、いつも日焼けしている。夏は、海水浴、キャンプ、山登り……などをし、冬になると、回数を数えきれ無いほどスキー場に通い、スキー夢中になりセミプロの腕前だ、と自負している。何にせよ、学問だけをする青白い輩≪やから≫の範疇≪はんちゅう≫を超えている。それら全てが、祐樹を柔らかく覆っているのだ。モテナイ要素がない好青年なのだ。友達も、並外れて多い。男子でなく女子にも人気がある。彼の心優しい面も、大いに寄与している。彼の醸し出す雰囲気が人を引き寄せるのだ。女性達には、ある種のヘロモンを全身から出しているように思える。だから、祐樹の周囲には、多くのファンが取り巻いている。もちろん、主な話題は、受けた講義についてだ。祐樹は、自身の個人情報には、ほとんど触れない。一種ミステリアスな存在だ。
だからこそ、男女を問
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