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呪われた喫茶店
呪われた喫茶店
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たのだ。
俗に言う【呪われた店】らしい。
(そのせいで、格安物件であったのだろうか? そのような店で、何故、成功したのだろうか?)
 智也は、少しだけ気にはなった。でも、漆黒に色付けされた考えを【忘却の彼方】に追い払おうとした。
 話をガラリと変えて、智也が経営する喫茶店が、超繁盛した秘策をここで記そう。
まず、モーニングだ。ほとんど全ての店は、焼いた薄いトーストに冷たい卵を提供してあげていると勘違いしているのだ。
智也は、モーニングを十四種類に増やした。サラダ、ミニトマトと常に【温かい卵】をベースとした。例えば、Aモーニングは、柔らかい極上のトースト付きで五十円増しにした。Bモーニングは、シャウエッセンにカレー、胡椒の効いた炒めたキャベツを、絡めたホットドッグ付で百円増しにした。その他、様々なモーニングを、夫婦で考案し提供したのだ。つまり、お客様の選択肢を増やすと同時に、客単価を上げることにより、利益を増加させたのだ。
モーニングの時間帯は、朝の七時から十一時までにし、それ以降、三時までをランチタイムとした。四十種類ものランチメニューを、妻とともに頭をひねって考えだし、毎日異なったS,A,B,Cの四種類のボリュームに富む昼食に、ホットコーヒー又はアイスコーヒーを付けた。価格は、千円以内押さえてお客様に提供している。平日であっても、モーニング時、ランチ時には、毎日満席状態だ。ウエイティングのため、車で待って頂くほどである。
何通りのランチを日替わりで提供出来るのか? 数学1で勉強した組み合わせの式にあてはめれば、簡単に計算できる。
でも、店を始めた頃は、四万枚の二色刷りのチラシを、主要四大新聞に折り込んだ。さらにブログでも告知した。にもかかわらず、一日の売り上げは一万円程度の日が約一カ月続いた。
だが、口コミの影響には、目を見張るものがあった。一日に四万、五万と順調に売り上げを伸ばし、今では三十万を下らぬ日はない。当然、損益分岐点を軽く超えた。一年を平均すると、店の純益は、月間約二百万円である。
恐らく、喫茶店としては、超成功店の部類に入るであろう。従業員も美系で,愛想のいい若い娘を確保するため、募集、募集、を繰り返した。毎日勤務しない人も含めると、主婦、大学生、専門学校生、フリーターが四十名近くいる。

しかし、この智也が経営する店で、奇妙なことが数多く起きるようになった。
トイレは広々とした女子用と男子用の二か所ある。一人客の若い女性がトイレ入ったのを、何気なく見ていたお客さんが、女性従業員に知らせた。いつまでも出てこないのを不審に、思ったからだ。隈なく探したが、該当の女性は忽然≪こつぜん≫と消滅していた。飲みかけのコーヒー、紅茶、ジュース……などを置いたままだ。読みかけの女性週刊誌、レシートがテーブルに残っていた。閉店の夜七
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