暁 〜小説投稿サイト〜
呪われた喫茶店
呪われた喫茶店
[16/24]

[1] [9] 最後 最初
、いたしかたない、とあきらめることにした。
智也は、全体のレイアウトも金銭的に可能な限り変更した。テーブルとイスは、すでにあるものを使うことにした。が、座布団は、別注で紺色の本物のかすりに替えた。高さ一・八メートル,横幅十メートルの特注木製本棚が備え付けられていた。本棚には、漫画がギッシリと並んでいた。智也は、大工さんに頼んで、同サイズの本棚を三つ作らせた。古本、新刊漫画シリーズも奮発して買い揃えた。かなりの金額だったが【漫画喫茶】を【売り】にするためには、必要な経費であった。店名は【マンガ喫茶かど】をそのまま使った。高さ約十五メートルの電飾看板が聳≪そび≫えていたからだ。交通量が多い東西と南北の生活道路に、店が挟まれていたからでもあった。京都伏見稲荷神社近くに京都事務所を、構えている有名な四柱推命の先生が、その事務所にいる日、母はアポを取った。三十分の鑑定で三.五万円も出して、オープン日、店名……などを占ってもらった。夫婦は、その日、どうしても外せない業者との打ち合わせがあったから、母と一緒に行けなかった。
四柱推命の先生の言う通り、なにもかも実行した。家族皆が、【風水】を信じていたからとも言える。西に黄色のシンボルを置くのが、良いと前々から知っていた。皆で、あれこれと知恵を絞った。その結果、黄色の花を植えることでまとまった。四季咲きで常に咲くバラ等も検討した。最終的には、妻の提案していたエンゼルトランペットに決定したのだ。
西の敷地にその苗を植えた。黄色からだいだい色,赤へと色が変わり,シチヘンゲ(七変化),紅黄花≪こうおうか≫とも呼ばれる。十四株のエンゼルトランペットを地面に植えた。この花は、
春〜秋、丈が二メートルを超えるほど成長速度が早いから、一日に二回以上肥料を施した。
同時に、モーニング等で出す遅咲きのミニトマトの苗木を植えた。そのために五キログラム入りの花の土を四十袋買った。智也は、一人でせっせと西の敷地にミニ菜園を作った。
タブロイド判求人誌を新聞に折り込んでいる求人誌の担当者に店で会い、名刺大の募集を主要四紙十四万部に掲載した。その甲斐あって、履歴書を持ち面接にきた約八十〜百名の応募者と、面接をした。智也には、応募で来た人数をカウントする暇もなかったのだ。最終選考で、二十名に絞った。その中から、厨房に六人、ホールに十人採用した。フリーター、短大生、四年生の大学生、専門学生、の順に多く採用した。彼女達の年齢は十八〜二十二歳で、智也夫婦よりも若いから、使い易いだろうと踏んだからである。学生は、講義があるので、毎日入ることはできない。主として、フリーターの小野さん、小西さんがほぼ毎日勤務した。小野さんと大西さんは、ともに十九歳である。小野さんは、さぞ宝塚音楽学校の男役に似合いそうな、スタイルグンバツ容の姿であり、しかも、ハキハキとし
[1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ