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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第651話】
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トが居ないため、注意すら出来なかった。

 成樹は小さくため息を吐くと、意識を集中させて自身の機体を展開――身体に光が集まり、集束すると漆黒のラファール・リヴァイヴをその身に纏う。


「わあっ! やっぱ笹川君も乗れるのは本当だったんだね♪」

「黒のラファール・リヴァイヴ! 細かいデザインが違うけどカッコいい!」

「笹川くん! カッコいいよ!」

「キャーッ!」


 黄色い声援を浴びて苦笑を漏らした成樹、喫茶店で紅茶を淹れていた頃もお客様から歓声が上がっていたのだが――ISに乗れるだけでこれだ。

 成樹本人はヒルトの力になれれば良い――そういう想いで触れ、今に到るのだからやはりこの環境に慣れるには時間が掛かりそうだった。

 一旦しゃがみ、装着を解除。

 専用機ならではの強みを消すこのやり方は人によってはあまりよろしく見えないだろう、だけど専用機を持たない人にとってはこの方法からの乗り込みが基本なのだ。

 ハンガーの様に固定されていないため、装甲に手をかけ、足をかけ、背中から入るように身を預けるとラファール・リヴァイヴは前面装甲が閉じて搭乗者を固定するためフィッティングを開始し始めた。

 訓練機ではフィッティングは行わない、パーソナライズも同様だ。

 個別に使うわけではなく授業では全体が使う、仮にパーソナライズ、フィッティングを個々で行えばそれらの初期化に手間が掛かる。

 成樹の身体に合わせ、各部関節部がスライドされて固定――ハイパーセンサーと接続され、冬の寒空を青々と映し、背後の学園や周りに居た女子たちも鮮明に映し出され、視界三六〇度全体が知覚出来た。

 だが人間の視覚というのは習慣として正面を捉えるのが普通だ、いきなり拡がる知覚に慣れない成樹。

 奇妙な感覚に襲われるも、意識を集中させてふわりと浮かぶと各スラスターを点火。

 コース上の配置されたリングを確認すると最初はゆっくりと飛行した。


「成樹、先に戻ってるぜ!」

「あ、うん。 わかったよ織斑君」


 真っ先に飛び出した一夏は既にリングを潜り抜けた後らしく、そのまま待機位置へと戻っていった。

 歩行を行わない辺り、一夏にとっては歩行が無駄だと判断したのだろう――。

 一つ目のリングを確認、あまり速くはないが一つ目を潜り抜けて二つ目。

 コースを弧を描くように飛行し、潜り抜けると三つ目はその頭上約三〇メートルに現れた。

 急停止からの急上昇――身体を保護されているとはいえ瞬間的に掛かるGを軽減できる訳じゃなかった。

 僅かに軋む骨、だがそれも一瞬の事で三つ目を潜り、直ぐ様四つ目、五つ目と潜り抜けた。

 最後の二〇メートルの歩行の為、グラウンドに着地すると砂
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