89 強敵(ライバル)
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っと、失礼。ボクは和島俊。船越小の三年生さ」
「ふうん・・・」
「おっと、キミも名乗りたまえよ。それが礼儀だろ?」
「僕は藤木茂。入江小の三年生さ」
「ほう、藤木君か・・・。キミも凄いけどボクの方が一枚上手だと思うな」
「何だって?」
「まあ、見てみな」
和島俊と名乗った少年はステップを踏み出した。そしてどんなジャンプもスピンも軽々とこなした。
(す、凄い・・・!!)
藤木は和島の技術に舌を巻いた。
「さあ、どうだい?」
「す、凄いね・・・」
「恐れ入ったかい?まあ、そうだろう、ボクは御殿場で行われるスケート大会に出るからね」
「え?僕もだよ!」
「ほう、じゃあ、本当の対決は大会でやろうじゃないか。に、げ、だ、す、な、よ!!」
和島は藤木の額を指で叩きながら言った。
「う・・・」
藤木は怖気づいた。
(優勝するって気持ちだったのにあんな上手い子が出るなんて勝ち目はないだろうな・・・)
藤木は不安になった。そして家に帰った。
(やっぱり優勝なんてハードル高すぎたかな?でももう出場用紙は提出しちゃったし・・・)
その時、藤木は昨日堀から貰った彼女の住所と電話番号が書かれた紙を思い出した。
(そうだ、堀さんに相談してみよう・・・!!)
藤木は家に帰ると堀から貰った紙を出し、その紙に書かれてある電話番号の通りに電話を掛けた。
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