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とある3年4組の卑怯者
89 強敵(ライバル)
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ピン、ステップまで軽々とやってしまうその才能はまさに非凡です。宿泊費も交通費も協会が補助してくださるという事なのでお金の心配はございません。彼ならきっと静岡県どころか中部、全国、いや、世界へ羽ばたける力を秘めています。是非息子さんを信用してください』
「は、はあ、わかりました・・・」
『では私はこれで失礼します。息子さんを応援しています』
 片山は電話を切った。
「誰だったんだ?」
 藤木の父が聞いた。
「元スケート選手の片山次男って人だって。茂を大会に出してほしいって」
(何だって!?あの人は本物のスケート選手だったのか!!)
 藤木は片山の正体に驚いた。
「そうか、本物の選手に認められているなら出さないわけにはいかないな!」
「父さん・・・」
「そうね、茂。頑張りなさい。お前が満足いくような結果にするんだよ」
「母さん、ありがとう、俺、頑張るよ!!」
 藤木は全力で挑むことを誓った。

 翌日、みどりは学校で堀と藤木の事を考えていた。
(堀さん・・・、堀さんもまさか藤木さんの事をお好きなったのでしょうか?)
「吉川さん、次音楽だから、音楽室行かないと遅れるわよ」
 堀が呼んだ。
「あ、はい、そうでしたね・・・」
 みどりは音楽の授業の準備をした。
(どうか気のせいであってください・・・、ただ仲がいいだけ・・・、と)
 
 藤木は相変わらず学校では全く相手にされない幽霊のような扱いを受けていた。しかし、それでも藤木は前だけを向いていた。
(絶対に大会で優勝して、皆をギャフンと言わせてやる!!)
 藤木は今日から大会に向けて本気の練習を始めることにし、今日も授業が終わると、走って帰った。その様子を笹山と城ヶ崎が見ていた。
「藤木ったらいつも急いで帰って一体何なのかしら?」
「さあ・・・」
(もしかしてスケートで気を紛らわしてるのかな?ああ言って振ったけど、なんか気になる・・・)
 
 藤木の練習は始まった。大会の要項には、ジャンプは八つまでとされており、そのうち最低一つ以上はアクセルをしなければならない。他にはコンビネーションとシークエンスは三つまでであった。スピンは一つは10回転以上のコンビネーションスピン、もう一つは6回転以上のフライング、そして単一姿勢のスピンと決められていた。また、ステップシークエンスは一つまでで、多く披露すれば余分な演技として減点の対象となる。藤木は様々なジャンプやスピン、そしてステップシークエンスの練習をした。どれも難なくこなし、どのような組み合わせで行こうか考えた。暫く滑っていたその時・・・。
「ふうん、キミも中々いい滑り方をしているじゃないか。まあ、ボクには勝てないだろうけどね」
 見知らぬ爽やかそうな少年が話しかけてきた。
「き、君は一体誰なんだい?」
「お
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