人間は自分の今までを無くすことなくして変わる事はない。
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地の底に落ちてもそれにめげないで進んでいく姿は、これこそ本当に一握りの天才というのだろうと。この当たりが何もかも最初から諦めて向上心を亡くした自分とは違い、諦めずに、希望も捨てずに自分の限界に挑んで栄光を掴む姿は本当に主人公のようだった。
「それが凡人と天才との違いよ」
「うわ、いきなり現れるなよ。つうか人の心を読むなよ」
「そんなのワシの勝手じゃ」
相変わらず自分勝手な神様である。そもそもこの陰険爺のせいで俺の人生は滅茶苦茶にされたんだよな。そして転生してそれなりに長い付き合いになったな。
「今日でお主に合うのは最後じゃ」
「あ?」
「この世界の物語は随分堪能したからの。この世界に来る理由もなくなったからの」
「いきなりだな」
だったらもう二度と会う事はない。この爺さんに出会ったせいで俺の人生が狂ったんだからな。出来ればもう二度と出会いたくないし。
「なんじゃ、ワシと合えなくて寂しいのかの?」
「全然」
「釣れないの」
こんな極悪で陰険爺を好きになる奴なんて本当に心が腐ったもの同士でしかわかり合えん。というか断言できる。
「まあ良いわい。最後にお主に言っておく事がある」
「あん?」
「ワシはお主を凡人と証した。じゃがただの凡人ではないとも言った。」
「それがどうしたよ」
「ふん気がつかんのか……まあ、だからこそ予想もつかない物語が構築されたとも言っていいのかの」
「だから何を言って「さらばじゃ!」おい、聞けよ!」
何の前触れもなく消えやがった。結局あの爺さんは最後まで自分勝手な野郎だった。まあ、もうこれで爺さんの言う事が本当なら俺はもう関わる事がない。というか絶対にそうあって欲しい。爺さんのおもちゃにされて西住みほという明らかに人選ミスともいうべき人物に転生させられて地獄の苦しみを味わった俺だが、結局は凡人の器の俺に出来る事は限られて、俺は西住まほや逸見エリカのように逃げださずに自分の運命を変える事は出来なかった。
結局、西住みほという重役に耐え切れずに俺は前世のもとの生活を望んで此処にいる。確かに原作改変という事体を引き起こしたが、例え大小様々でも俺以外の人物が転生しても簡単に出来た事だ。俺はたとえ世界が変わっても俺は主人公と称される重要人物を成長させて引き立てるだけの歯車でしかなかった。それはこの世界で俺が西住みほとなってそれを証明している。
「結局、俺は爺さんの暇つぶしのおもちゃに選ばれた凡人でしかなかったんだな」
それが悔しいと思わなかったと言えばうそになる。前世で周りに迷惑をかけた記憶もないのにどうして俺が主人公に転生されなきゃいけないんだよと数えきれないほど思った。だけどそう思った所で過去は変えられない。例え
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