第131話 方言少女と改造人間
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ことも、自分の行動を悔やむこともなかったはずだ。
だから彼女がどういう経緯でここに居ようと、俺は全て受け入れなきゃならん。「人の命を預かってナンボ」の着鎧甲冑の所有者なら、なおさらだ。
「……くれぐれも、彼女を責めないでくれ。二発目を喰らってアリーナに水没した君を引き上げたのは、他でもない彼女だったんだから」
「ッ!? そ、そうなのか?」
「う、うん。ごめんな、龍太。アタシ、大したこと出来んくて……」
――しかし、実際のところは俺の想像とは大きく違っていたらしい。水没した俺を助けた? 十分大活躍じゃないか。何が「震えて動けなかった」だ。
「……そんなこと、あるか。お前が来てくれなかったら、俺は今頃海中でおだぶつだったんだ。本当、恩に着るよ。ありがとう」
いろいろと説明されたおかげで、ようやく落ち着きが戻ってきた。俺は肺に溜め込んでいた一息を吐き出して気を鎮めると、可能な限り穏やかな口調で言葉を紡ぐ。
彼女はそんな俺の様子に一瞬たじろぐような仕種を見せると、背を向けて「着鎧解除」と呟き、本来の姿を取り戻した。
一向に素顔を見せようとしないのが気にかかるが――カンに障るようなことでも言ってしまったのだろうか。
「さて、矢村ちゃん。彼も無事だったことだし、そろそろ腕輪を渡してくれてもいいかな? 僕もまだ死にたくはない」
「……そうやな」
一方、彼女は俺とは視線を交わさないまま、R型の「腕輪型着鎧装置」を「必要悪」に手渡していた。死にたくはない……? どういうことだ?
「そういえば、君にはまだ話してなかったね。僕の身体には『腕輪型着鎧装置』のように、バッテリーで駆動する生命維持装置がある。定期的にこうやって、電力を補給しないと……たちどころにあの世行きってわけさ」
彼が自らの装甲服の左胸に手を当てると、その部分が扉のように開き――蒼く発光する球体のようなものが現れた。
「……!?」
「本来ならすぐにでも電力を貰いたかったんだけどね。矢村ちゃんがあんまり君に夢中だったから、声を掛けるに掛けられなかったんだよ」
「う、う、うるしゃいッ! 余計なこと言わんでえぇッ!」
球体の周りには幾つかのコードが繋がれており、彼はそれらの内の一つを摘むと、矢村から受け取った腕輪に接続する。
本来、「腕輪型着鎧装置」がバッテリーを補給するためにある接続部分。だが、そこに繋がれているのはバッテリー補給用の機材ではなく、「必要悪」の心臓部に取り付けられたコード。
先程の彼自身の話とその状況から、彼が何のためにR型の腕輪を自分と繋げたのかは、容易に想像できる。
……問題は、そんなことをしなきゃいけない、という彼の身体の謎だ。
瀧上さんとタメを張る立ち回りといい、十年前の彼
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