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とある3年4組の卑怯者
88 機会(チャンス)
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た。以前、リリィと飛騨高山へ旅行に行った時、花輪達と共に高山のスケート場で自分のスケートの技術を高評価した片山という男だった。
「久しぶりだな、藤木茂君」
「あ、あなたは・・・、片山さん?」
「覚えていてくれたか」
「は、はい!」
「藤木さん、お知合いですか?」
「前に一度会った事があるんだ」
「へえ、そうなんですか」
「清水と言えばこのスケート場があるからね。ここで君が滑っているんじゃないかと思ったが予想は当たったようだ」
「そうでしたか・・・、ですが、本当に僕なんかがこの大会に出ていいんでしょうか?」
「何、誰が出ていいとかだめだとかいう決まりまない。是非出てみて自分の実力を見せつけるといい。それとも怖いのか?」
「いえ、僕はただ・・・」
 藤木は学校の事を言おうか迷った。
「藤木君、不幸の手紙の事言ってみたら?」
「え?で、でも・・・」
「いいから!」
「あ、うん・・・」
 堀に催促されて藤木は不幸の手紙の事を言おうとしたが、片山から先に口を開いた。
「不幸の手紙・・・?あの悪戯の手紙がどうかしたのか?」
「う、実は僕の所に不幸の手紙が来て、不幸が来るのが怖くて書いてある通りに出してしまって、それで学校でクラスの皆から嫌われ者になったんです。僕が大会に出ても皆スケートしかできない奴ってイメージをより持たれるかもしれないですし・・・」
「ほう、そういう事だったのか・・・。それは辛かったろうな。だが、そういう時こそ大会に出てみるといい。きっと周りも君に対する目も変わるだろう。私だってスケートしか取り柄がないが、その唯一の取り柄で皆をアッと言わせてきた。藤木君、君にとってこの大会は君を白い目で見る奴らを見返す時だ。でなければ君はいつまでも嫌われ者のままだ!」
 片山は藤木に叱咤した。
「いつまでも嫌われ者のまま・・・」
「そんなの、嫌だろ?それにこれはアマの大会だが、世界に羽ばたけるチャンスなのだ!どうだ、やってみないか!?」
「世界に羽ばたけるチャンス・・・」
 藤木は確かにスケート以外での取り柄がない。しかし、その唯一の取り柄であるスケートならば自分は貴族か王子(プリンス)だと思っていた。ならば、本当に人生の経験としてでも出場して皆をアッと言わせてやろう。藤木はやる気を出した。
「分かりました。やってやろうじゃありませんか!」
「うむ、いい意気込みだ。登録のための書類は受付にあるので貰うといい。そこに必要事項を記入してポスターの下に書いてある協会の住所に送れば君はその大会の出場者として認められる」
「は、はい、わかりました!早速そうしてみます!」
 藤木はポスターを見た。しかし、驚く事が一つあった。場所は御殿場のスケート場だった。同じ静岡県内とはいえ清水からは少し遠い。
「御殿場か・・・。遠いな
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