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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません
第六十話 ヤン・ウェンリーのエコニア滞在記
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堅苦しげな表情をした、堅苦しげな男。
其れがムライ中佐の印象だった。
この印象が正しければ、ヤンとしては苦手なタイプに直面することになる。

「宜しい小官が惑星エコニアに到着するまでに更なる資料の照査をお願いする」
ムライ中佐が3日後にエコニアに到着する事を確認して、ジェニングス所長は通信を終えた。

「ヤン少佐、参事官が来るまでより一層の照査をするように」
「了解しました」

また3日間も忙しいのか。
部屋に戻るとパトリチェフ達が待っていた。
「ヤン少佐、如何でしたか?」
「ああ所長が管区に連絡して調査にムライ中佐が来るんだ」

「ムライ中佐ですか」
「んなにか問題でもあるのかい?」
「いえ、聞きおよぶ所では、汚職と冗談が大嫌いなおかただそうで」

「秩序と規則が服を着ている?」
「TV電話で見て、そう思いましたか」
「そう思った」

「第一印象が正しい、珍しい例ですな」
「多数例への変更がきかないものかねえ」
「まあさらに3日間照査に努めろとのお達しだ、やるしかないんだよね」

「まあしかたがないでしょうな」
「少佐殿頑張りましょう」
「少佐が照査か下手なダジャレだね」

「・・・・・・・・」
「・・・・・・・」
ヤンのダジャレは受けなかったようだ。

当初より早く2日後に到着した、ムライ中佐に挨拶後、
此処10年分の勤勉さと交換に纏めた資料を説明しながら、
会議室でムライの連れてきたスタッフと共に実に1週間も調べた結果、
前所長と前会計係長の不正が確定されたのである。
フェザーンの北極星銀行に匿名の秘密口座が有ることさえ調べきったのである。

直ぐさま、マシューソン司令官へ連絡が行き、
司令官から軍上層部へと連絡が行き、
事件は大事に成っていくのである。

直ぐさまコステア大佐とポートランド大尉の収監が命令されたが2人とも既に家族共々、
フェザーンへ出国しており逮捕できなかった。
さらにフェザーンの自由惑星同盟高等弁務官ラファエル・ラ・フォンテーヌ氏が引退した後、
高等弁務官になった、チャン・ヨーステンは賄賂政治家として囁かれた事もある人物であり、
大佐から裏金を1000万ディナールを受け取り知らぬ振りを決め込んだのである。

同盟政府に提出した報告書には【コステア大佐とポートランド大尉両人はすでにフェザーンより帝国へ出国した模様】と書かれていた。

納入業者も既に廃業しており代表者も単なる名義貸しだった為、
追跡が不可能であった。

結局捕まったのは、末端の兵や従業員であり彼らから殆ど情報が得られなかった。

事件終了後ヤンはムライを率直に賞賛した。
「おみごとでした」
「私は万事、型どおりの考えしか出来ない男でね。
型は提供する
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