第六十話 ヤン・ウェンリーのエコニア滞在記
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てくれないか」
「少佐殿いつでもどうぞ」
「話を戻すとして、本来なら捕虜1人に対して1本が定数だったと言うわけになるのか、
でそのワインは市価でいくらするんだい?」
「元々帝国のワインはフェザーンからの輸入に頼ってますから、
今回の463年物ワインはハイネセン価格で2000ディナールします」
「2000ディナール!それほどですか」
「凄いね其れが55400本、年金何年分になるだろうね」
「ざっと1億1000万ディナールを超します」
「其れが半分消えたわけだ」
「そう言う計算になります」
「そして、会計のピンハネか、大がかりな不正があったと言うわけだ」
「なるほど」
「よし所長に報告しよう、大尉と中尉は手伝ってくれ」
翌日、ヤンにしては珍しく勤勉さを見せ書類を作り上げて所長の元へと向かった。
「ジェニングス所長」
「開いている入りたまえ、
ヤン少佐どうかしたかね?」
「はい、小官とパトリチェフ大尉、バリング中尉で書類整理をした結果、
大規模な不正を発見しました」
「なに、不正だって」
「はい、前所長と会計係長が就任直後から、
物品の質が低下したにも関わらず、納品書にはその旨が無く
さらに各種備品も規格外の物が使用されていることが判りました」
「一大事だぞこれは」
「さらに、捕虜に救恤品を渡した際に、
ワインがマーロヴィア星系の収容所では1人1本の配給が行われましたが、
此処では2人に1本でした、つまり半数を横領した可能性が有ります」
「うむー、これは大変な事だ、ヤン少佐達だけでは手に負えない事だ。
至急タナトス警備管区に報告を入れるのだ」
副官が所長のメンツが潰れますがと小声で言うが。
ジェニングス中佐は副官に自分のメンツよりよほど大変な事だそんな小さな事気にせんと怒った。
「ヤン少佐貴官が詳しく報告を頼むぞ」
「了解しました」
早速所長が連絡を入れる。
管区司令官マシューソン准将は、参事官のムライ中佐と共に惑星間通信の画面に現れた。
どうやらエコニアだけでなく、この管区全体が、覇気の欠乏状態に有るようにも思える。
妙に疲労した雰囲気を有する退官間近の初老男は、つやのない声をおしだした。
「ジェニングス所長大変な事とはどんなことだね?」
「はい詳しいことは此処に居るヤン少佐に説明させます」
「私が、マシューソンだ。ヤン・ウェンリー少佐か、
名は聞いておる、まあ災難だったな」
ヤンは3人で発見した不正について彼にしては珍しいぐらい勤勉に詳しく報告した。
「ふむ。それが本当なら一大事だ、調査の必要があるな」
その結果エコニアに管区司令官代理として参事官ムライ中佐が派遣されることとなった。
中々に手きびそうに見え、
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