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とある3年4組の卑怯者
87 本性(ひきょうもの)
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プもスピンをしても、その頭の気分は晴れなかった。
「まるでオリンピックの選手ですよね!」
 それでもみどりは藤木の技術に目を光らせていた。
「うん、そうね・・・」
 堀は藤木の表情が暗いのに気が付いた。
「藤木さん、凄いです!!」
「ありがとう・・・」
 藤木は褒められても嬉しさが顔に表れなかった。
「藤木さん、どうしたんですか?元気ありませんけど・・・」
「いや、その・・・」
 藤木は学校の事を言うべきか迷った。しかし、他所の学校の人間に話して本当にいいのか、もしかしたらみどりはショックを受けるかもしれないし、堀に言ったらすぐ自分を避けるだろう。藤木はそう考えた。
「藤木君、私と滑っていいかしら?」
 堀が尋ねた。
「え?う、うん・・・」
 藤木は承諾した。堀が藤木の手を取り、滑り出した。
(こんな可愛い子と一緒に滑るなんて確かに嬉しいけど僕は学校で悪い事したから本当に許されるのだろうか・・・)
 藤木は堀と手を繋いで照れてはいたが、心の闇を払拭しきれなかった。堀は藤木の顔を見た。
(吉川さんが好きな人ってこんな暗い人なの?でも明らかに元気がないわ)
 二人が一周滑ると、みどりは感激した。
「堀さんも凄いお上手ですね!!」
「ありがとう、私転校前は山梨県にいてね、藤木君みたいにスケートが得意な友達がいて、よくスケート場に行ってたの」
「へえ・・・」
 堀は藤木に説明するように言った。堀もみどりも藤木の顔が暗く、気になった。そして堀はみどりに聞いた。
「吉川さん、藤木君なんか淋しそうな顔してるけどいつもそうなの?」
「いえ、いつもはそんな事ないんですが・・・」
「もしかしたら何かあったかもしれないわ。聞いてみましょう」
「あ、はい・・・、あの、藤木さん?」
「な、何だい?」
「今日は元気なさそうなんですが、どうしたんですか?」
「あ、いや、そうかな・・・」
 堀も藤木に声を掛ける。
「そうよ、何だか元気なかったわ。何かあったの?」
「う・・・」
 藤木は不幸の手紙の事を言おうか迷った。しかし、言ったら嫌われるかもしれないと思った。
「お願い、何かあったら私達に話して。私、藤木君とは知り合ったばかりだし、怒ったりしないから」
 堀に言われて藤木は笹山の言葉を思い出した。
《なんであの時私に相談してくれなかったの!?言ってくれれば止める事ができたのに!!味方になってあげられたのに!!そうやってはっきりと言わないから皆から卑怯って言われるのよ!!》
 確かにあの時は誰かに相談すれば少しは助けて貰えたかもしれない。しかし、今更相談しても手遅れだろう。しかもここで初めて会った人に言って本当に何とかなるのか。でもここで言わなかったらまた同じ事になるかもしれない。藤木は自爆覚悟で今日の事を話し、自分
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