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SAO−銀ノ月−
虹架
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るだけで、データ消したりはしないから! ただ、その……リアルで忙しくなりそうだから」

 突然の宣言にギョッとしてしまうショウキへと、わたわたと言い訳でもするかのようにレインは説明する。要するに、と。

「本気でアイドルしようって思って。ちょっとログインする時間が減ると思うの」

「……そうか」

 今まで本気でやっていなかったという訳ではないけれど。早く七色に並ぶアイドルになるためには、今までの努力では足りないと、何でもやろうと決心した今ではそう思って。突然で迷惑をかけるが喫茶店のバイトも今月限りで辞めることになり、せめてOSSだけでもこの世界に残って欲しいと。

「それなら絶対、ありがたく使わせてもらう」

「う、ううん! 使えないと思うから、持ってるだけでいいから!」

 本気でアイドルやってみる、という決心には変に騒ぎ立てず静かに頷いてくれたのに、どうやらOSSの方には変なスイッチが入ってしまったらしい。レインが習得した鍛冶スキルに魔法との併用を前提にしたもののため、単独では使えないと言っているのだが、ひとしきり反論してもショウキの意思は変わらないようで。

「……もう。あとさ、また迷惑かけちゃうかもしれないけど……たまには会いに来ても、いいかな?」

「ああ、もちろん」

 ひとしきり二人で笑いあった後、レインはそうして彼に問いかける。一人では、また袋小路に迷い込んでしまうかもしれないから。それでも君が待っていてくれるならば、きっと道を見つけることが出来るから。だから、いつも迷惑をかけることになるかもしれないけれど、またこうして二人で会いたい――そんな問いかけは、確かに彼に肯定された。

「店をご贔屓にしてくれれば、な」

 だけどそんな肯定は、あくまで店に客にと一線を引いたものだった……彼にはそうした意味を込めたつもりはないだろうが。

「店。そっか、店、か」

 その返答は、レインとは隣同士でいられない、ということを意味していた。それはレイン自身にも分かっていたはずだった――先程、隠れてあの店を見ていた時に、彼がレインと一緒にいる時には決して見せない表情であること。そんな表情を見せるのは、もう一人の店員である彼女と共にいる時だけだということを。

 自分ではなく――彼女だと。

「レイン?」

「っ……ううん、なんでもない! うんうん、わたしでよければ売り子でも何でもしちゃいますぞ?」

「未来のアイドルに売り子なんて贅沢だな」

 芽生えかけていた感情を無理やり閉じ込めると、とっさの安請け合いをしてしまう。幸いなことに冗談だと認識してくれたようで、冗談ついでにない交ぜになった感情のままに、最も彼に伝えたい言葉を伝えていく。枳殻虹架――もしかしたらレインという名のアイド
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