凡人は自分の欠点を嫌という程知り尽くし現実を知って絶望する。そしてその事実を認めない天才と勘違いする輩は屑となる。
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のやら。
ーーー。
娘が事故死した。まさか自分の娘が戦車道の試合中に事故死するなど予想もしなかった。私は初めは、この情報を聞いた時は誤報だと信じたかった。だが、戦車道関係者より帰ってくる言葉は「西住みほは試合中に事故死しました」という無情な返事だけであった。
この情報を聞いて私は直ぐにでも現場に駆け付けたかった。だが、西住流を背負う物が優勝を逃した。西住流としての秩序を保って敗北したならば百歩譲って敗北した事に対して少し説教はするだろうが、それ以上のお咎めはしない。だが、西住流の影響力が強い黒森峰で、そして全国大会10連覇という偉業を達成できずに敗退したとなれば話は変わってくる。まだ、最初の頃は断片的な情報しか入ってきていなかったが次女であるみほは味方の戦車を助ける為にフラッグ車の指揮放棄した事が原因で偉業を逃した事が原因だ。普段からどんな犠牲を払っても勝利を絶対として教えていた手前、事故死した娘を庇う発言が出来なかった。何しろ今回の敗北で西住流師範としての行動が最も試される事態でもあった為に身内の問題を後回しにしてしまった。
西住流の『師範代』としての仕事が数日をかけてようやく終わりようやく西住みほの『母親』として行動が出来た。娘の死体が安置されている病院に駆けつけて、みほの死体を見た時に、ようやく私は娘のみほが死んだ事が本当である事を理解させられてしまった。みほの死体を見た時は崩れ落ちそうになり今にでも泣きたかった。だけど、西住流を支える『師範代』としての秩序が泣くことも崩れ落ちる事は許されなかった。
自分の秩序が崩れないのも長女のまほの現状にもあった。次女のみほと違い、長女のまほは私に似て常に冷静で物事を進めて感情に乏しい印象を与える娘だったが、そのまほが誰の目から見ても弱弱しく、そしてみほが、どのようにして事故死した時の状況を聞いた時には説明の途中で泣き崩れてしまったのだ。どんな時でも冷静なまほを泣き崩れて私は心身共に疲弊している娘に対して西住流『師範代』としての顔で娘に接してしまった。
「どんな時でも鋼の心を持ちなさい。今の貴女の状況は西住流として失格です」
違う!違うんだ!私は本当は娘を慰めたい。だけど『母親』としての顔を出したら娘同様に泣き崩れてしまう自分を恐れた。だから西住流『師範代』としての顔でまほと接してしまった。
だが、このような行動に出てしまう自分に納得してしまった。私は娘たちが西住流の教えを学び出してから『母親』としてあまり接していなかった。常に『師範代』としての顔で娘達と接しいた。娘たちは西住流の後継者としての才能があった。西住流を体現者ともいうべき長女のまほと、そのまほを陰で支えるように補助に徹したみほ。『師範代』として二人に接すれば接する程に厳しくなっていき心を痛めてもこ
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