凡人は自分の欠点を嫌という程知り尽くし現実を知って絶望する。そしてその事実を認めない天才と勘違いする輩は屑となる。
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西住みほという人形劇を演じ終えて既に半年が経過した。俺の新たな住まう場所にも慣れて、そして新たに転校した陸の学校では、自分の趣味が合うグループも発見して学校帰りに遊ぶ程の関係を作っていた。現在の俺の生活は西住みほを演じた頃に比べれば刺激も緊張感もなく平和な時間を過ごしていると感じる。俺は正直いって西住みほを演じ終えたらあの性悪爺の新たな遊び道具にされるんじゃないかと最初の頃は内心ビクビクしていた。
何しろあの爺さんは、凡人がどのようにしてその世界の中心とも言える人物に対してどのように立ち回るかを楽しみにしており、殆どが失敗に終わって凡人達が現実を理解させれらる光景を楽しみにしている腐った神様だからな。極まれに、自分の才能を理解して現実に打ちのめされても成功を収めた転生者いるらしいが、それはそれで楽しいらしい。成功が限りなく低い人間ほど自分の予想を覆す物語を作る人間は自分の好みに反しても絶賛らしいのだ。その話を何か月か前に気まぐれに訪れた時に話してくれた。この爺さんは行動原理がいまいちよくわからない。というか、それなら何で凡人と証した俺に今でも気まぐれだが合いに来るのかと俺は聞いた。
本人曰く。
「数ある下位世界に転生させた転生者の中で、ほんのちょっぴり自分を楽しませた物語があるからじゃ」
だそうだ。もうすでにこの世界は俺がいなくても本来の世界の物語が逸脱しており、どのような結果になるかは神様本人にもわからないらしい。だから、俺が起こした行動で物語の本質が変わった世界の中心人物がどのように動くのか少し興味があるそうだ。今は俺に然程興味はなく、この世界の中心人物がどのような結末を迎えるのかが爺さんの興味が向いている。俺にたまに話に来るのは本当に気まぐれのようである。
「世界が変わってるか……だけど、俺には関係ない話だ」
戦車道の世界が変わろうとしている。だけど、俺にはもう関係がない。
二次小説に書いてあることが現実に起きている俺の現状は、他の転生者がいた場合に、正義感がある転生者ならなぜ助けない、どうして実力があるならどうしてヒロインを助けないと非難するかもしれない。逆に下心を隠そうともしない野心家の転生者は競争する相手がいなくてラッキーと思い、自分がヒロインを嫁にするんだと豪語する輩もいるだろう。だけど、本当に俺には関係ない。
世界の中心とも言える人物が凡人の俺に救えるわけがない。この世に才能があるなら俺の才能など世間一般で見たら楽な道に行きたい覇気のない今時の若者の努力もしない凡人だ。そんな俺がどうして西住みほを演じれたのが今でも不思議に思う。いくらあらゆる平行世界の記憶を継承したとしてもだ。
今の俺に戦車道に関わる事はない。どのような物語となるかは今を懸命に生きている乙女たちだけだ。さてさて……どうなる
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