ドラム王国へ
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……」
ビビはアキトの言葉を反芻する。
「……もしも、ビビがアラバスタ王国を優先すると決意したのなら、俺がナミを医者のいる島へと連れていくから心配する必要はない」
アキトは真剣な瞳で此方を見据える。
加えて、わざわざビビにどちらの選択肢も自由に選ぶことが出来ることを言外に伝えた。
「─」
アキトの言葉を受け、ビビの意志は即座は決まった。
「皆、聞いて!私の母国のアラバスタ王国が今、窮地の事態にあるの。だけど、今ここでナミさんよりもアラバスタ王国を優先したらきっと私は後で後悔する。だから、一刻も早くナミさんの病気を治せる医者が存在する島に向かおうと思うの。これが私の今思いつく最善の策。その後にアラバスタ王国に向かうわ」
それが彼女、ビビが選んだ選択
ルフィ達の中に異を唱える者などいるはずもなく、メリー号はナミを救うべく急遽、進路を変えるのであった。
ルフィ達が次の島へと向かうべく舵を切る。
気候は瞬く間に変わり、今船の外では雪が降り積もっている。
アキトとビビがナミの看病をしている最中に船に襲撃を受けたようだが、ルフィ達が撃退に成功した。
船の見張りはサンジが受け持ち、船内ではアキトがただ1人起きている。
だが、アキトも皆と同じように睡魔に誘われ、仮眠をとるべく横になろうとしていた。
そんな中、アキトは布団から飛び出すナミの左手を目にする。
何かの拍子に布団から出てしまったのだろうか。
アキトは体を冷やしてはいけないとナミの傍へと静かに歩み寄る。
外気に晒されている彼女の手を繊細な手付きでアキトは掴み、再び布団の中へといれる。
今なお、彼女の身体から感じられる熱は常温を優に越える熱さを持ち、彼女の身体の深刻さを顕著に表していた。
一刻も早くナミを医者の元へと連れて行かなければならない。
─ もう少し耐えてくれ、ナミ。お前をこんな所で決して死なせはしない ─
アキトはナミの手を無意識に強く握りしめる。
それは彼、アキトの決意の表れでもあり、ナミへの思いの強さの表れでもあった。
それ程までに今の彼女の状態は重く、命に直結するものだ。
─っ
そんなアキトの気持ちに応えるようにナミが自身の手を握り返してくる。
無意識によるものであろうか。
「─」
アキトはナミの手を振りほどくことなく彼女の手を握り続ける。
そして、ナミが眠るベッドの傍に椅子を置き、ナミを起こさないように静かに腰を下ろし仮眠を取るのであった。
メリー号の船内に広がる静寂
アキトとナミの2人の手は離れることはなく、ナミはアキトの存在を傍に感じたのか先程よりも落ち着いた様子で眠り続けた。
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