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とある3年4組の卑怯者
84 手紙
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(ふ、不幸の手紙・・・!?)
 藤木は不幸の手紙が来て恐ろしくなった。
(どうしよう、これを出さなかったら、僕は不幸になる・・・!!)
 藤木の頭の中は恐怖に包まれた。ただでさえ運が悪いというのに、これ以上不幸になったらもう生きていけなくなる。そうなると、どうしても出さなければならない。
(こうなったら、書くしかない。しかし、誰に出そう・・・?)
 藤木は先ず誰に出すか考えた。友達である永沢や山根にはどうしても出せない。笹山やリリィに出す事も避けた。自分の好きな女子に不幸になって欲しくなかったためである。
(ええい、もう適当に決めてやる!!)
 藤木は無作為に出す人を決めた。一人目はさくらももこ。二人目は浜崎憲孝。三人目は土橋とし子。そして四人目は・・・。
(そうだ、丸尾君なら学級委員だから何とかしてくれるかもしれない!!)
 藤木は四人目を丸尾末男に出すことにした。こうして手紙の文章を写し、封筒に入れ、切手を貼ってポストに投函した。
(ごめんよ、皆・・・、俺、どうしても不幸になりたくないんだ・・・!!)

 翌日、藤木は自分が出した不幸の手紙の事が離れなかった。
(本当に僕はもう大丈夫かな・・・。いや、出したんだから大丈夫な筈だ・・・!!)
 藤木はそう思いながら、登校した。その時、藤木は後ろから声を掛けられた。
「藤木君、おはよう」
「さ、笹山さん、おはよう・・・」
「どうしたの?何か気難しい顔してるけど・・・」
「いや・・・、特にないよ!」
 藤木は不幸の手紙を笹山に言うべきか迷った。しかし、そんな事を言ってしまえば彼女は絶対自分の事を怒り、嫌うだろう。藤木はそれが恐ろしくてできなかった。

 学校では藤木は何もなかったかのように過ごした。ただ、それでも手紙の事が頭の片隅に染み着いていた。
「藤木君、君どうしたんだい?今日は落ち着きがないよ」
 永沢が急に聞いてきた。
「いや、何でもないさ!」
 藤木は誤魔化した。

 放課後、藤木はとっとと家に帰った。もう各自の所に手紙が届いているだろう。
(皆、ごめんよ・・・。僕、不幸になるのが怖いんだ・・・。だから手紙を出したんだ。悪く思わないでくれよ・・・)

 みどりはテストの勉強をしながら明日のスケートの事を考えていた。
(藤木さん・・・。あのスケートするあの凛々しい姿・・・。また私に見せてくれるかしら?)

 その頃、丸尾の家では丸尾が藤木から届いた手紙の封筒を開けて、その内容を読んでいた。
「な、なんと!!このワタクシに不幸の手紙などを・・・。どうすればいいのでしょうか!?か、かあさま〜!!」
「どうしたんザマすか、末男さん!?」
「わ、ワタクシに不幸の手紙が来たのです!そこに三日以内に四人にお出ししなければ不幸が訪れると書い
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