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衛宮士郎の新たなる道
第12話 忍び寄る殺意
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ぎない!?』
 「そりゃ、証拠を残さない事も考えての事だからね。硝煙反応も出ないし、今私黒づくめに覆面体勢だから大丈夫心配しないで」
 『そこを心配してるのではなくて!?』
 「もう何なのおとん?私今すぐ撃ちたいんだけど?」
 『そもそも何でまた銃殺しようとするの!?スポンサー様の説得にも応じたんじゃなかったの?』

 この事に燕は一拍置いてから、

 「だって視たの」
 『何を?』
 「あの日の夜、何故か胸騒ぎして、おとんの入浴中に出かけて行ったら、案の定近くに士郎の御屋敷があったんだけど――――その日おとん、何時入浴したか覚えてる?」
 『ん〜10時くらいだったかな?そう言えば上がった時に燕ちゃんいなかったけど、それが?』
 「そんな時間なのに、士郎の家から出てきたのよあの女が・・・!それにその後もビルの上から少し覗き見してたけど、リザ(護衛の女)は廊下で士郎の腕に絡めて抱きついたりしてたのッ・・・!!」

 如何やら百代たちの殺意がそれで再燃した様だ。
 リザは兎も角百代がそんな時間まで居たのは、魔術回路の運用方法――――つまり魔術の修練だ。
 魔術の修練は周囲の家が一般人ばかりの場合、夜に行うのが定石だが、百代のコンディションへの懸念もあって、これでも早い時間帯の方だ。
 勿論そんな事は知らない燕にとっては、忌々しく妬ましい。恋い焦がれる身としてはその感情も仕方ないと言えるかもしれない。
 だがしかし、

 『だからってそれはやりすぎだよ!』
 「でも・・・」
 『でもじゃない。いい燕ちゃん、スポンサー様が求めているのは武神の敗北であって殺害じゃないでしょ!?』
 「それは・・・・・・そうだけど」
 『なら依頼主様のニーズに合う仕事をしなきゃ駄目でしょう?それで武神の事は一応調べたんでしょう?弱点とか判明したの?』
 「あの泥棒猫の最大の弱点は多分、少し前までは舎弟の直江大和君の筈だったとプロファイリングしたけど、今は士郎だと思う。だからこそ私は」
 『なら話は簡単じゃない。士郎君を奪い返して、精神的にショックを受けた武神を物理的に敗北させる攻撃をお見舞いしちゃえばいいじゃない?』

 違う?と聞かれた事で漸く我に還った燕。

 「そっか、アリガトおとん!それに心配掛けちゃってごめんなさい」
 『いいのいいの、いざという時は助け合うのが家族ってもんだしね。僕も燕ちゃんには散々苦労掛けていた訳だし』
 「それはそうだね〜」
 『そこは否定してよ〜』

 漸く普通の親子らしい会話に戻る2人。






 「それじゃあ、一発撃ってから撤収するね?」
 『ちょっと!?』

 そんな本気か冗談か区別もつかない言葉で電話を終えた松永親子だった。


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