83 帰還
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藤木とリリィは旅館にある売店でお土産を選んでいた。
(どれにしようかな・・・)
藤木は永沢にあげる目的でお土産を買おうとしていた。いつも彼から嫌味を言われ続けている藤木ではあるが、それでも永沢についていい所も知っているため、どうしても友達をやめるわけにはいかなかった。
「藤木君、まだ迷ってるの?」
「うん」
リリィは既に購入を済ませていたのだった。
「リリィは何を買ったんだい?」
「高山の写真の絵葉書よ。これエミリーやメイベルに送ろうと思ってるの」
「へえ」
「藤木君は誰にあげようと思ってるの?」
「僕は永沢君かな」
「え?永沢君?いつも嫌な事言われているのに?」
「うん、でも僕にはどうしても永沢君を友達だと思いたいんだ。家が火事に会って苦労しているし、学校では意地悪な事をすぐ言うけど、家では家族や弟の太郎君を大事にしている面倒見のいい所があるからね」
「藤木君は永沢君のいい所知っているのね」
「うん・・・」
藤木は少しして永沢にあげるお菓子を購入した。
(永沢君、喜んでくれるかな・・・?)
藤木は永沢がどうか喜んでくれて欲しいと願った。
翌日の帰宅日、藤木は列車に乗りながら、旅行の思い出を顧みた。
高山の古い町並みを歩いた頃、中橋でリリィと写真を撮った事、旅館の風呂の湯の肌触りが気持ちよかった事、そして料理も美味しかった事、ロープウェイで飛騨山脈を堪能する事ができた事、そこで花輪とマーク、そしてルリ子と出会った事、そして高山の祭りの規模の大きさを博物館へ行って実感した事、リリィ達に自分のスケートの技術を披露した事・・・。
スケートの事を思い出して藤木はふと、妙な出来事を思い出した。
(そういえば僕のスケートに凄いと言っていたおじさんがいたな・・・。確か片山って言ったっけ・・・。あの人は一体何者なんだろう・・・?)
藤木はスケート場で出会った男がやけに気になった。
「藤木君、どうしたの?そんな気難しそうな顔して」
リリィが尋ねてきた。
「い、いや、何でもないさ!」
藤木は誤魔化した。
そして藤木達は清水に帰ってきた。
「それではミルウッドさん、ありがとうございました。さようなら」
藤木の母が別れの挨拶をした。
「さようなら」
リリィの両親も挨拶を返した。
「藤木君。藤木君と一緒でとっても楽しかったわ。どうもありがとう」
「え?うん、こっちこそ誘ってくれてありがとう。僕も楽しかったよ」
「じゃ、また学校でね」
こうしてリリィと別れた。
藤木は家に着くと母に永沢に土産を渡しに言ってくると言った。
「わかったわ。あんまり遅くなるんじゃないよ」
藤木は永沢へのお土産を持って永沢家に向かった。
永沢家の玄関
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