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とある3年4組の卑怯者
82 氷滑(スケート)
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 藤木達はタクシーを利用して高山祭を再現しているという博物館に行っていた。
「うわあ、こんなすごい屋台がお祭りの時に使われているのね」
リリィが祭りで使われる屋台を見て感心していた。
「こんな屋台を使ったお祭りなんて清水の灯籠祭りよりもずっと規模が大きいんだろうね」
 藤木も驚いた。
「そりゃそうだ。高山祭は日本三大美祭の一つなんだぞ。灯籠祭りよりもずっと大きい祭りに決まってる」
 藤木の父が説明した。
「そうか・・・」
 藤木は父の説明で高山祭の大きさを感じとる事ができた。
「私も是非その本物の祭りを見たいわね」
「まあ、うちはホイホイ行ける程の余裕はないけどな」
 藤木の両親はまたもや暗い会話をしていた。
(父さん、母さん、せっかくの旅行なのに暗くなるなよ・・・)


 藤木とリリィは花輪に教えられたスケート場に向かった。丁度花輪達とも合流した。
「Hey、靴代は僕が負担するから安心してくれたまえ」
 藤木達はスケート場の中に入った。藤木はレンタルしているスケート靴を履いた。
(やっぱり自分の靴が一番慣れてんだよな・・・)
 藤木は自前のスケート靴と比べて履き慣れない感じがしていた。
(やっぱり自分の靴なら上手く滑る気がするけど仕方ない、ジャンプやスピンとかリリィ達に見せられるかな?)
 花輪、マーク、ルリ子、リリィ、そして藤木の五人はスケートリンクの中に入った。リリィは早速転んでしまった。
「Lily,are you ok?(リリィ、大丈夫かい?)」
「Yes,thank you(うん、ありがとう)」
 リリィはマークに体を起こしてもらった。それを見て藤木はマークが少し羨ましく見えた。
「それじゃ、滑ろうか」
 花輪がそう言って滑り出した。ルリ子も滑り出した。上手く滑れないとされるリリィはマークと手を繋いで滑ってもらった。リリィがマークとペアという状況を見て藤木は泣きそうになった。
(リリィはマークと一緒に滑ってる・・・。本当は僕と滑って欲しかったのに・・・!!せめてリリィにジャンプやスピンを見せたかったのに・・・!!)
 藤木はその場で気を落とし、立ったまま、ショックで滑る事さえしなかった。
「花輪クンも氷滑(スケート)上手いのね」
 リリィが花輪に感心した。
「まあね、僕はカナダの別荘の近くの湖でよくやってたからね」
(花輪クン、スケートまでできるんだ・・・。スケートは僕の唯一の取り柄だというのに、これじゃあ、花輪クンの陰に隠れるだけじゃないか・・・!!もし、僕からスケートがなくなればただの卑怯者だよ・・・!!)
 藤木は気を落とし、その場を動けなくなった。。その時、一周滑ったルリ子が藤木に話しかけてきた。
「アナタは、滑らないの?」
「・・・え?」
「スケート、好きなんでしょ
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