第71話 ぷるるんおっぱいが俺を呼ぶ
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意識を現実世界に引きずり出してしまったのだ。
「梢! もうそろそろ、お風呂の時間だぞ! 早く支度したまえ!」
誰か用なのかと思えば――まさかの茂さんかよ。つか、なんで「梢」?
部屋を間違えたんだろうか? ここの当主なのに?
……まぁ、とりあえず扉越しにでも返事してみるか。
「おい、ここは俺の部屋らしいぞ。妹さんは別の部屋使ってんじゃないのか?」
「なっ……その声は一煉寺龍太!? き、貴様! 妹の部屋で何をしている!?」
「はぁ!? 俺はここの部屋を使えってメイドさんに言われたからここに――!」
「ワガハイのメイドに!? と、とにかくここを開けろッ!」
な、何なんだ急に……。ここが、久水の部屋?
わけのわからない供述に首を傾げつつ、俺は扉を開きながら、そこに張り付いて壁に隠れた。次の瞬間、入り口が開通したと同時に、茂さんが必死の表情で部屋に飛び込んで来る。
……あ、あぶねー。実に予想通りだった。普通に出入り口で突っ立ってたら、間違いなく顔面衝突しかねない勢いだったぞ。
俺はアポなしで侵入してきた、クレイジーな来客に冷や汗をかきつつ、ゆっくりと扉を閉める。侵入っつーか、お邪魔してんのは俺なんだけどね……。
そして、扉を閉じる際に発せられたバタンという音に、凄まじい程にビクリと反応した茂さんは、慌ててこちらに振り返る。
「き、貴様、いつの間に後ろへ! さては忍術か! 抜け忍か!」
「伊賀流か甲賀流か、それが問題だ――って、ちげぇよ! つか何でいきなりお尋ね者扱い!?」
「妹の部屋に我が物顔で住み着いておいて、なんと白々しい! この甲賀流久水茂が成敗いたす!」
「なんか設定盛って来やがった!?」
見るからに漫画から引用したような、シュールな構えを披露しつつ、茂さんは露骨に敵愾心を示して来る。こんなのとさっきまで同じ土俵で戦ってたのかと思うと、死にたくなるな……。
だが、ちょっと待て。妹の部屋?
「……なぁ、ここってもしかして、本当にアイツの部屋……なのか?」
「当然だ! 今さら知らない振りをしても遅いぞ! ニンニン!」
改めて確認を取ってみると、やはり彼はここが久水の部屋で間違いないと言う。千年殺しのポーズと共に尻を左右に振りながら。
……え? つまり……どういうことだってばよ。
――まさか、本当にここが久水の部屋!? てことは、あの二つの枕と嗅ぎ覚えのある香りはッ……!
「ぐはァァァァッ!」
「ぬォ!? ど、どうした一煉寺龍太ッ!?」
恐るべき結論に到達してしまった瞬間、俺は顔面蒼白になりながら頭を抱え、両膝をついていた。自分のやってしまったこと。それが全てフラッシュバックしてしまったがために。
――や、や、やってもたァ
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