第七章 C.D.の計略
鏡面の自分
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だが、今の彼にはそれは意味をなさないもの。
ただ、ただ、ただただただただただ―――――――――
「戦ってくれるのならば、俺は何でも構わない!!」
無表情で、倦怠感のある目が、大きく開かれて狂気にゆがんだ。
同時に振るわれる腕。それに応えて、ディスパイダーから糸が発射され、ゾルダの射撃がそれを打ち落していく。
無論、それ以上の弾丸が飛び、高円寺のすぐそばを通過していくが彼は意にも介さずにデッキを構えた。
「変身!!」
スライドして挿し込まれるデッキ。
瞬間、ライダーの鏡像が回転しながら彼の身体包み、飛来する弾丸を弾きながら彼に装着されていく。
そして、変身と同時に装備されたシュートベント・ディススナイパーの銃口を向けて、三人を狙って無数の光弾を打ち出していった。
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「さて・・・・今のところ、いくつかな」
『あー・・・・そっすねぇ。今んとこ四つ、今五つ目ですかね』
「おおよそ三分の一か。先は長いな」
『ッすねぇ・・・まあ旦那は特別焦らんでもいいですよ』
「そのつもりだ。こちらに敗北はない」
ジャラジャラと身体に巻き付いた鎖を鳴らしながら、真っ暗な闇の中を進む男。
会話は終わったのか、電話を切って携帯をしまう。
男は異形だった。
怪人と呼ばれる類の存在。
その闇の中に、外からの物か、光が指す。
そこを通過した男の姿は、足まで隠れた着物を羽織ったもの。
とはいっても、日本的な着物ではなく、何かというとギリシャ神話的な、片方の肩にかけるようなものだ。
紫色の身体から煙が吹き出し、男の姿を厳格そうな老人に変える。
その姿は、老人とは思えないほど力に漲った「何か」がある顔つき。
何かの達人?と思わせるような、厳つい顔つきだ。
彼が外に出ようと光の方向へ向かうと、脇道の通路をズルズルと這う異形がもう一体。
どうやらここは地下水道のようであり、彼らは偶然にも出会ったらしい。
その異形が、頭のような部分を上げ、老人を見る。
すると老人の後頭部あたりに透明な羽のようなものが現れた。
「やめておけ」
だが、老人の言葉に羽根が止まって消える。
異形は目の前の人物の何かを感じ取ったのか、すごすごと闇の中へと再び消えていった。
「・・・・・先の長い話、だな」
老人は再び、人間社会に消えていく。
その時が、やってくるまでは。
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