第七章 C.D.の計略
鏡面の自分
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光に押されて後ずさる。
がたがたとドアや窓は揺れ、廊下にかかっていたカラスは落ちて割れた。
そしてついにドアも壊れたのか勢いよく開き、それに押されて高円寺は床に落ちた鏡に向かって倒れ込んだ―――――――
そこからは御想像の通り。
彼は、開通したミラーワールドへと足を踏み込んだのだ。
そこで見たのは、凄まじい光景。
おそらくは江島研究室の研究員だろうか。
その二人が、見たこともない異形の怪物に食われていた。
人気のない世界。反転した文字。
先ほど鼻で笑った世界を目の前に突き付けられ、高円寺は目の前の捕食の光景にも関わらず、口元を引くつかせて皮肉気味に笑ってしまった。
だが、そこで彼は自分の身体の異変に気付く。
身体がだんだんと消え掛かっていっているのだ。
シュワシュワと、まるで炭酸か何かの中にいるかのように、身体が粒子のように消え始めかかっていた。
どうすればいいのか。
簡単に考えれば、入ってきたのは鏡から。ならば鏡に飛び込めばいいのか?
しかし、鏡面世界の研究棟のトイレの鏡に飛び込んでも出られない。
その時の彼は知らなかったことだが、どの鏡でも出入りできるのは契約を終えたライダーのみ。
入ったときはまばゆいエネルギーによって押されたために可能だったのだが、もはや彼に鏡面世界と現実世界を行き来することは不可能だ。
焦りを覚える高円寺。
と、そこに飛び込んできたのはまた別の光景だ。
建物の外にいる、二対のモンスター。
そのモンスターが戦いをはじめ、片方が敗れて爆散した。
するとどうだろうか。
その爆破跡から光の玉が表れて、それをモンスターが食ったではないか。
「まさか・・・あれは・・・・・」
自分が追い求めてきたものが、目の前にある。
ここでなら、自分の研究を飛躍させられる!?
だが、彼はこの世界での生存方法がわからない。
元の世界への戻り方もわからない。
どうしようかと、鏡に映る自分を見る。
自分自身が映っていた。
鏡の中の世界でも、鏡は鏡としてキチンと作用するのだなと、そんなどうでもいいことを考えてしまう。
すると
『なあおい、死にたくないよな?』
「・・・・は?」
その鏡面の自分が、しゃべった。
原理も何もわからない。
だがこれだけのことがあったのだ。
鏡に映った自分が喋るくらいでは特別驚きもしなかった。
「死にたくはない。ここでなら研究ができそうだ。でも、どうすればいいんだ」
『おお、互いの利害は一致したな。俺も死にたくない。お前がそっちにいるってことは、俺がこっちにいるってことだからな
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