0270話『小さい提督と明石の決意』
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提督は聞いていて理解してしまったのか涙目を浮かべている。
そんな小さい提督に明石は「そんなことはありません!」と前置きを入れた後に、
「提督。あなたの記憶が残っているのはある意味で嬉しい誤算です。提督とはまったく違う意識の覚醒なんてこれほど研究意欲をくすぶられるものはありませんから」
「明石、やっぱりあなた……」
「誤解なきように、山城さん。私はさっきも言ったように今回の件は嬉しい誤算です。
と同時に、これからは新たな研究と新薬の開発もしないといけなくなりましたね」
「新しい薬の開発……?」
《あの、明石さん。それって……》
そんな二人の反応に明石はニヤリと笑みを浮かべながらも宣言する。
「榛名さんとの分離薬を完璧なものとして開発し副作用を無くすと同時に、提督と小さい提督とも分離させて三人に増やす薬ですよ!」
《そんな事が可能なのですか!?》
「そんなことが出来るの!?」
「私、消えなくていいの!」
三人のそんな反応を見て明石は満足そうな顔を浮かべながらも、
「出来るか出来ないかではありません。やらないといけないんです!
このまま小さい提督の意識を無視して副作用を無くすほど私は外道ではありません。小さい提督もちゃんとした命と記憶を持っているんですからきっと提督も私の考えには賛成してくれると思います。いつになるか分かりませんけど必ず完成させますので……ですから小さい提督も安心して待っていてください」
「うん!」
最後に明石は小さい提督に安心してもらえるように笑顔をうかべた。
その後に榛名と笑顔を浮かべながら子供らしく話している提督をそのままにして山城と明石は別室の方で話し合っていた。
「でも、本当にやる気なの? 明石……」
「はい。もし今回で提督がまた前回と同様に記憶がまっさらな状態だったらこんな案は思いつきませんでしたよ。でも、しっかりと小さい提督は前回の記憶が引き継がれている。つまりそれは新たな生命が誕生したに等しいんです」
「新たな生命……あの子が……?」
「はい。私が開発した分離薬の副産物なのかは分かりませんが、このまま副作用として処理するにはあんまりですから」
「まぁ、そうよね……だったら明石。言い切ったからには最後までやってちょうだいね?」
「お任せください! 必ず開発を成功して見せますから!」
ここに明石の新たなプロジェクトが始まった瞬間だった。
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