ep17 憎悪に塗れる
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ーを引こうと指に力を込めたがーー。
「クソッ!」
センサーが急接近する敵を伝える。俺は敵のいる方向に機体を転回し、シールドを構えた。その途端、ガンダムの大型剣が振り下ろされ、ティエレンの左腕が左右に斬り落とされる。危うく胴体を真っ二つにされるところだった。
俺は滑空砲に装備されたブレードをガンダムに向けて叩きつけようとするが、その攻撃は躱される。
ガンダムはそのまま後退すると上昇した。俺は滑空砲を敵に向け、再び弾を撃とうとするが、それは叶わなかった。
「何だ!?」
後ろから急に機体を突き飛ばされたのだ。俺は生きているサブモニターで原因を確認する。
そこにいたのは、左腕と両足を被弾して戦闘不能になった友軍機だった。また、右側に赤いガンダムがおり、ハンドガンを構えている。その絵面を見て、俺は仲間に庇ってもらったのだと気づく。
味方機の識別番号を参照し、俺は歯を食い縛った。
「6番機?クレゴル曹長!」
『……あんた、まだ無傷じゃん。こんなところで、直撃コース食らっちゃ、ダメなんだって……』
大破した機体との『お肌の触れ合い』会話で、俺はクレゴル曹長の蚊のような声を聞いた。だが、ここにいると爆発に巻き込まれる。
「済まない、ありがとう」
『退けっての。助けた意味、なくなるから』
俺は顔の見えない仲間の言葉に頷き返し、機体を急加速させる。そのすぐ後に、6番機が爆発した。
飛び出した先では、3機の友軍機がいた。我が部隊は僅か数分で残り半分に減ってしまっていた。
上空にいるガンダムは長距離ビーム攻撃の最中だった。その邪悪な赤い輝きは基地へと吸い込まれていく。
そのとき、先ほどのオレンジ色のガンダムがこちらに気づき、接近してくる。どうやら、この基地に残っているのは俺たちだけらしい。
だが、俺は不思議と恐怖を感じなかった。くるところまできてしまった、という思いが強い。
ガンダムが最初の獲物として捉えたのは俺のティエレンだった。大型剣が真正面から突っ込んでくる。
「やってやる。かかってこいよ、ガンダム」
操縦レバーを握りしめ、俺は呟いた。ガンダム相手にどこまで戦えるか、俺は未知数な世界へと飛び込んでいく。
終
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