番外編 星雲特警とソフビ人形
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ちまった。だから、星雲特警も異星人も、分け隔てなく同じ造形で作ってきたカウマァクは潰れて……異星人を悪し様に見せるバンピーポが生き残った」
「異星人を、分け隔てなく……」
「あぁ。……俺も、ガキンチョの頃は異星人とダチになるのが夢でよ。カウマァクのソフビ人形を毎日欲しがっては、お袋にドヤされたもんさ」
「それで今は……当時の商品を、ここで?」
「……ま、大体は俺が並べて懐かしみたいだけなんだがな。どうせ、カウマァクのソフビ人形が好きな奴なんて……このご時世にいるわけねぇし」
「……」
どこか遠い昔を見つめるように、目を細める店長。そんな彼の横顔を見つめた後、太?は自分の手にある人形に再び視線を落とす。
「……え? た、太??」
「……」
――時流に押し潰され、闇に消えた対話への道。かつては存在していた、共生を願う思想。それが許されていた、時代の産物。
それを見詰めた瞬間――たまたまシルディアス星人に生まれただけの、幼気な少女の涙が、脳裏を過る。刹那、太?は人形を握り締めたまま目を伏せた。
そんな彼の異変に――隣でつまらなさそうにしていた晄が、不安げな顔つきに変わる。……その時だった。
かつて共生の道を探していながら、自らの剣でそれを断ち切ってしまった愚者は――店長の前に、カウマァク製のソフビ人形を差し出した。
「……この、ドゥクナス星人を一つ。お願いします」
「いいのかい、こんなダサい人形で。そこの坊主は、もっとカッコいい人形と遊びたいはずだが」
「これは自分用です。……持っていたいんです、その時代の人達が作ってくれた物を」
「……ハハ、変わった兄ちゃんだな。あんたみたいな趣味の若いモンなんて、そうはいねぇぞ」
あくまで自分用と言い切る太?に、苦笑しつつ。店長は彼の胸中を汲むように、ドゥクナス星人のカウマァク製人形を受け取り……清算を始める。
すると。隣でその様子を眺めていた晄が、思い立ったように店頭へ向かい――1体のソフビ人形を持ってきた。先ほどまで彼自身が「カッコ悪い」と言っていたはずの、カウマァク製のユアルク人形だった。
「……じゃあ、おれはこれっ! おっちゃん、おれ、これにするっ!」
「お? 坊主もカウマァクの人形にすんのかい。今日の客は変人ばっかだな」
「えっ、ちょ、晄くん!? それ買ったら今月のお小遣いなくなっちゃうよ!? 晄くんが欲しいのはバンピーポ製の、リアルでカッコいいユアルクでしょ?」
どこか愛嬌はあるものの、不細工としか言えないユアルク人形。それを買いたいと申し出た晄は、キッとした目つきで太?を見上げる。その眼には「決して譲れない」という、強い決意の色が滲んでいた。
「……太?がそれ買うんだったら、おれもここのユアルクにする! そーじゃ
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