番外編 星雲特警とソフビ人形
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…げ、なんだこのユアルク。頭はデカいし手足は細いし、カッコ悪!」
「……」
その景観に、晄は眉をへの字に曲げて、訝しげな表情を浮かべる。一方、太?は店頭に並ぶ奇妙なソフビ人形の群れに目を奪われていた。基本的に箱詰めされているバンピーポ製のソフビ人形とは違い、その人形達はヘッダー付きのビニール袋に詰められている。
その人形の等身はリアルとは言い難く、不自然に頭部が大きいし手足は細過ぎる。デフォルメという割には顔付きそのものはリアル寄りで、そこがまたアンバランスであった。
――だが、それでいてどこか愛嬌があって。機械的なまでに精巧に再現されている、バンピーポ製のソフビにはない温かみ……のような何かが感じられる。
何より星雲特警であるユアルクと、それ以外の異星人との間に、造形の差異が感じられない――という点が、太?の関心を惹きつけていた。見てくれこそ些か不細工であるが……星雲特警も異星人も、平等なディティールで造られていたのである。
「……んぁ? なんだお客さんかい? 珍しいなこんなところに」
すると、店の奥から恰幅のいい男性が顔を出してきた。この店を独りで切り盛りしている、店長だ。体毛が非常に濃く、無精髭が目立つ彼は太?達を目にして――ぶすっとした表情を浮かべる。
「……あぁ、悪いね。ウチには今時のガキンチョに合う玩具はねぇんだ。冷やかしなら帰ってくんな」
「な、なんだとー! おい、太?もう行こうぜ! こんなとこ――」
「あの、すいません。この人形って……」
バンピーポ製のソフビ人形を求める客であると即座に見抜いたらしく、店長はしっしっと手を振る。
客商売をしているとは思えない彼の対応に、晄が眉を吊り上げる一方で――太?はこの店のソフビ人形を手に取り、疑問を投げかけていた。今まで巡ってきた玩具屋では、一度も見たことがない形状なのだ。
「……まぁ、知らんのも無理はねぇ。なにせ兄ちゃん達が生まれる前に、潰れた会社の商品だからな。かれこれ30年以上は昔の人形だよ」
「30年……ですか」
太?が手に取っている、奇妙なディティールのソフビ人形。その商品を入れているビニール袋のヘッダーには、「カウマァク」というメーカーのロゴが描かれていた。
可愛らしい雌牛のロゴを一瞥し、太?は顔を上げて店長と視線を交わす。そんな彼の顔つきから何かを察した店長は、昔を懐かしむように口を開いた。
「……昔はな、異星人を信じてみよう、異星人と仲良くやってみようって連中もそれなりにいたんだ。今みたいに異星人共は全員敵、って風潮なんかじゃなかった」
「……」
「だが、現実は厳しくってな。結局は星雲特警以外の異星人にいい奴なんかいない、異星人を信じたら殺される……って、世の中に決め付けられ
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