番外編 星雲特警とソフビ人形
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歩く太?は――過去の記録映像で観た師の勇姿を、独り思い返していた。
――星雲特警ユアルク。35年前に怒涛の活躍で地球を救った彼の雷名は、今もなお神話級の英雄として語り継がれている。
5年前の災厄で彼と共に地球に現れたメイセルドも、この星ではヒーローとして認識されているが……それでも、ユアルクの名声には遠く及ばない。それほどまでに、彼という存在は絶対的な正義として、広く認知されているのだ。
そんな彼の人形が、子供達に売れないはずがなく。そんな子供達を持つ親が、GW時の大量入荷に目をつけないはずもなく。
結果として自分達は、その流れに乗り遅れてしまったわけだ。何処かに一つくらいは売れ残っているだろう、とタカをくくったのが不味かった。
――国内最大手の玩具メーカー「バンピーポ」。星雲特警や異星人等を商品化しているこの会社では、「リアルを追求した格好良さ」を重点に置いた商品作りを目指しているらしく、主力商品であるソフトビニール人形に、その社風が顕れているという。
星雲特警や地球特警のようなヒーローは、とことんカッコ良く。ドゥクナス星人やシルディアス星人のような悪の異星人は、徹底的に邪悪に。そんな深層意識が透けて見えるほど、ソフビ人形の造形に強い拘りが窺えるのだ。
それはある意味、異星人の侵略に晒されて来たこの星にとっては、必然の文化だったのだろう。
星雲特警のようなごく一部の味方を除く、全ての異星人は侵略者であり、悪。長きに渡る戦史の中で、人類はそう結論づけているのだから――こういった玩具にも、異星人を邪悪に描くプロパカンダが行われるのは当然なのだ。
実際、売れ行きの大半はヒーローグッズが占めているらしく、異星人のソフビ人形はヒーローの半数以下しか売れていないらしい。売れているとしても、それはヒーロー人形に華を持たせるためのサンドバッグ用でしかない。地域によっては、遺族の心情に配慮して販売すらしていない店舗もある。
――こうして。戦いに関わらない人々の日常にも現れる、憎しみの残滓を垣間見て。太?は晄の後ろで、静かに……それでいて深く、息を吐くのだった。
その後、彼は晄が「メイセルドにやっつけさせる悪役」として買ったシルディアス星人のソフビ人形に、視線を落とす。元星雲特警の眼に映る、その人形の貌は――彼自身が戦場で対峙してきた本物以上に、凶悪な面構えに造られていた。
「んっ……なんだここ?」
「……?」
――そんな折。ふと足を止めた晄が、小さな玩具屋の店頭に視線を移す。いつの時代かわからないような、古めかしい玩具が並んだその店には――今まで立ち寄ってきたどの店舗とも違う、異様な雰囲気が漂っていた。
「なんだぁ、ここ。ヘンな玩具ばっかだな。人形もなんかブサイクだし。…
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