暁 〜小説投稿サイト〜
とある3年4組の卑怯者
78 後宴(うちあげ)
[1/3]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 藤木は花輪家へと向かっていた。球技大会への打ち上げの為である。この打ち上げは、クラスのみならず、3年生の皆を労わるために花輪が催す事を提案したもので、他のクラスの児童も参加する事が予想されていた。途中で藤木は長山と遭遇した。
「やあ、藤木君」
「長山君・・・」
「今日は楽しみだね。藤木君はよく頑張ったからきっと皆から祝って貰えるよ」
「ははは、そうかなあ・・・?」
 藤木はやや照れた。そして長山は本当に立派でいいなと感じていた。昨日もしかしたら仮病で休んだかもしれなかったなどと言ったり、気遣って貰ったにもかかわらず嫌味で返した永沢と違って長山は素直に藤木を賞賛していたのだ。永沢も長山みたいになってくれたらいいのにと藤木は思っていた。
 
 二人は花輪家に到着した。藤木がインターホンを押した。
『どちら様でしょうか?』
 お手伝いの女性の声が聞こえた。
「花輪クンの友達の藤木と長山と言います。打ち上げに参加しに来ました」
『畏まりました。お入りください』
 藤木と長山は花輪家の敷居を跨いだ。その時、他のクラスの児童が現れた。2組の学級委員の横須が高浜、熱田、朝倉と共に来たのだった。
(2組の横須君達!?ってことはまさか堀内も・・・!?)
「やあ、君達」
 長山が横須らに挨拶した。
「ああ、4組の長山君に藤木君。花輪クンもいい人だね。よそのクラスの僕達まで誘うなんて。僕達は全部負けに終わったのに」
「うん、花輪クンは皆が頑張っていたから勝ち負け関係なく皆と楽しみたかったんだよ」
「へえ、そうなんだ。僕はそっちのクラスの丸尾君から聞いたんだ。それでウチのクラスも皆で誘おうと思ったんだ」
「それで、俺達も連絡網で回したんだ」
 朝倉が横須に続いて言った。
(全員、もしかして堀内君も来るんだ・・・。嫌だなあ・・・)
 藤木は堀内もこの場にいると考えて気が重くなってしまった。堀内が居合わせるとなるとどんな嫌な目に遭わされるかわからなかった。朝倉が続けていった。
「でも堀内は誘う気にならなかったよ」
「ええ!?本当かい!?」
 藤木が驚いた。
「ああ、あいつは勝手な事ばかりしてしかも負けた原因を誰かに突き付けて殴っていたんだ。熱田も色々やられて可哀想だったしな。だから誘わないようにしたんだ」
(そっか、ならよかった・・・)
 藤木は堀内が来ないと知って安堵した。
「もしかして藤木君も安心してるのかい?」
 横須が藤木に聞いた。
「う、実はそうなんだ・・・。そんなこと喜ぶなんてやっぱり僕は本当に卑怯だよね。それも分かっててやるなんて・・・」
「いや、そんなことないよ。僕達だって正直あんな奴といるのはお断りだよ」
「そうだね・・・」
 皆は笑いあった。

 花輪家の大広間に入った。既に多くの児童達が先着
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ