第42話 目が覚めたら、親御さんにご挨拶
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だからな」
「本当に素晴らしいですわ。あの娘が夢中になるはずです。義理の母として、誇りに思いますよ」
――「義理の母」? 華稟さんは何を言ってるんだ?
俺が首を傾げていると、甲侍郎さんがゴホン、と咳ばらいして俺に歩み寄って来た。あれ、なんかお礼言われてる空気だったはずなのに、急に雰囲気が変わったぞ。
……なんか、責められようとしてる感じが……。
「ところで一煉寺君。君は……娘の裸を見たそうだね」
「ブフッ!」
尋問官みたいな形相で迫る、甲侍郎さんの第一声が、それだった。思わず俺は後ずさり、彼が娘のことですんごく怒ってると悟る。
「心が通じ合う前の段階……どころか、まさか出会い頭に樋稟の裸身を凝視するとはな……!」
「い、いやいや! だってアレは不可抗力――」
「その上あの娘を押し倒し、純潔まで奪い去ろうとしていたとか!」
「それは脚色だーッ!」
なに吹き込んでんだゴロマルさんゴルァッ! 遠く離れた場所でコーヒー啜ってマイルド風味が香ばしいブレイクタイム満喫してんじゃねーッ!
「なんだと!? それでは君は、裸すら見ない状態から即座に純潔を狙ったというのか!? なんとマニアックな……!」
「脚色してんのは裸か否かなの!? 残念だったな、俺の性癖は至ってノーマルだよ!」
何が残念かはこの際置いといて、捏造された事柄で責め立てられるのはごめんだ。なんとか事故だったことをわかってもらいたいもんだけど……。
「――確かに、最近の若者の性的価値観を鑑みれば、そういう話も珍しくはないかも知れん」
「脱がす前に犯そうとする若者なんて日本じゃごく少数だろ……」
「だがしかし!」
「駄菓子菓子!? うまい棒でも欲しいのか……?」
お菓子を要求したり性的事故に憤慨したり、忙しい人だな……。
「私の娘だけは、そのような爛れた世界に踏み入れさせるわけにはいかぬ!」
俺の前に仁王立ちして、彼は「娘は渡さん!」とでも言い出しそうなオーラを発現させた。やべぇ、完全にキレてるぞコレは……。
「普通なら、君を強制猥褻の疑いで警察に処分を依頼したいところなのだがな」
「だ、だから待ってくださいよ! こないだのアレは事故だったんです!」
「それも父上から聞き及んでいる。それに、君には先程話した分の大恩もある」
怒りを噛み殺したような表情で、甲侍郎さんは俺を凝視する。例の功績と裸の件とでプラマイゼロ――になってくれれば助かるんだけど……?
「そこで、君に責任を取ってもらう形で、この件に決着を付けることにしたのだ」
「せ……責任?」
「その通り。一煉寺龍太君、君に命ずる。――樋稟と結婚し、我が救芽井家の婿養子となれ」
有無を言わせぬその口調に、偽りやからかいの色
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