暁 〜小説投稿サイト〜
元カレ殺す
第三章
[1/2]

[8]前話 [1] 最後
「御前が殺したいと思ってたあいつな」
「あいつがどうしたんだよ」
「死んだぜ、兄貴分のヤクザ屋さんにバラされたんだよ」
 つまり殺されたというのだ。
「何でも商売道具のヤク勝手にちょろまかしてな」
「退学になった後そんなことしてたんだ」
「藤会の構成員の弟分になってたんだよ、けれどな」
「麻薬?覚醒剤かな」
「覚醒剤だったみたいだな」 
 麻薬といっても色々ある、あいつが関わっていたのはこれだったらしい。
「それをちょろまかして自分で使ったりゲーセンとかで昔の仲間に売ってたんだよ」
「それがばれてなんだ」
「ああ、今朝死体で神戸港で発見されたぜ」
 ツレは笑顔で僕に言ってくる。
「コンクリに足を詰められてな」
「大阪の南港みたいな話だね」
「よくある話だからな、あっちの世界じゃ」
「それでどうしてわかったのかな、海の中に入れられたのに」
「この前藤会への警察のガサ入れがあっただろ。その時にバラしてた話もわかってな」
「それでなんだ」
「で、見付かったんだよ。退学になって暫くしてからバラされたみたいだな」
 ツレは僕に細かく話してくれる。情報を随分と細かく分析したらしい。
「だからな、もうな」
「安心していいんだね」
「言ったろ?安心していいって」
 ここでも僕にこう言ってきた。まるで全てがわかっているかの様に。
「あいつのことはな」
「けれど死んだことは今朝知ったんだよね」
「ああいう屑の末路ってのは決まってるんだよ」
「神戸港にコンクリートを足に詰められて放り込まれるんだね」
「そうなるものなんだよ。葛は碌でもないことをして破滅するものなんだよ」
「因果応報だね」
「そうだよ、因果応報ってのは世の常なんだよ」
 だから心配することもないということだった。あいつが破滅するからこそ。
「とはいっても少年院にぶち込まれるとか思ってたけれどな」
「殺されるとは思っていなかったんだ」
「流石にそこまではな。けれど死んだならな」
「もう心配はないんだね」
「幽霊が出て来るかも知れないけれど御前等には行かないさ」 
 それもないと言ってくれた、やはり笑顔で。
「自分を殺した奴に行くからな」
「自分を殺した相手に」
「ああいう屑は絶対に自分に非があると思わないからな。そっちに行くからな」
「じゃあ僕達は安心していいんだね」
「俺の言った通りだ。だから殺すとか思うなよ」
 僕の右肩をその右手でぽんぽんと叩いての言葉だった。
「いいな、そうしろよ」
「うん、それじゃあ」
 僕もツレの言葉に頷いた。それでだった。
 彼女の家のリビングで一緒に飲みながら満面の笑みで話せた。
「よかっ
[8]前話 [1] 最後


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ