第19話 二股デート、最低の響きだね!
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「な〜んだぁ……かわいい女の子がお邪魔してただけだったの。心配して損したぜ」
あの後、大慌てで帰宅してきた兄貴が目にしたのは、ケツ神様の裁きを受けた異教徒の骸――ようするにボコられた俺だった。その上に仁王立ちしていた救芽井の姿を目の当たりにした時、ようやく諸悪の根源は状況を把握出来たのだと言う。
半殺害現場に駆け付けた矢村の介抱によって、九死に一生を得た俺は救芽井に正座を強要されていた。その周囲を、彼女を含む三人に固められている。
「まさかあのケツ神様の正体が、こんな超絶美少女二人組だったとはねぇ。道理でおかしいと思った」
「……おかしいのはテメーの全てだからな?」
「悪かった悪かった。さっきは損したと言ったが、前言撤回。これほどのかわいこちゃんにお近づきになれたんだから、むしろ役得だよ。彼氏の兄として」
「かかか、彼氏って! ふざけないでくださいよ変態君のお兄さん!」
顔を真っ赤にして兄貴に食ってかかる救芽井。そんなことしたって、火に油を注ごうとするだけだぞ、そいつは……。
「あーなるほど! 君ってアレか! 俗に言う『ツンデレ』ってヤツだろう! 素直になれなくて『勘違いしないでよねっ!』が口癖の!」
「な、な……!」
「はぁ!? 救芽井って『ツンデレ』なん!? ――つんでれって何や?」
別にそのフレーズは口癖じゃないと思うけどな……まぁ、定番ではあるけど。そういや、前に救芽井がそれっぽい口調で話してたことがあったなぁ。
――そうか。もしかしたら……。
「なぁ救芽井。お前ってもしかしてツンデレ――」
「ち、違うわよ! あなたのことは、その、あの夜のアレのせいでつい意識しちゃうっていうか、やっぱ男の子なんだなっていうか……!」
「――が出るアニメとか見るの?」
……あるぇー? 素朴な疑問を出した途端に場の空気が凍り付いたよ?
なんか救芽井と兄貴がシラけた顔になってるし。ツンデレの意味も理解してない矢村と俺は、しばらくキョトンとしていた。
「……なにそれ?」
「いや、だってお前魔法少女のアニメとか見るんだろう? ツンデレキャラの一人くらいは出てんじゃないの?」
「あんな理不尽な暴力振るってばっかのキャラが魔法少女のアニメにいるわけないじゃない! 女の子の夢を汚さないでくれる!?」
理不尽な暴力って――完全にお前じゃねーか。お前は女の子の夢を見る前に女の子らしい振る舞いを心掛けろよ。
――などと口走れば飛んで来る物体が椅子じゃ済まなくなるので、おとなしく聞き手に回っておこう。戦場で生き延びることこそ最上の任務なのだから。
「まーまーケンカしない! 昨日のぺったん子もいることだし、三人で二股デートにでも行ってきたらどうだ?」
「サラっと最低なこと言い出しやが
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