第三章
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「よかったよ、これでな」
「ああ、治ったな」
「噂通りでよかったよ。若しあのままだったらな」
「生きていけなかったか」
「あんな姿で生きていけるかよ」
その何でも逆になったその姿ではだというのだ。
「そんなの絶対に無理だからな」
「そうだな。しかしな」
「しかし?どうしたんだよ」
「今度はンマサだ」
村の少年だ。村で一番の釣りの名人と言われている。
「あいつがなった」
「今度はあいつかよ」
「何もかもが逆さまになって寝ている」
「俺と同じなんだな」
「何もかもがな」
本当に全てが逆さまになってしまったというのだ。
「それで飯もまともに食えずだ」
「糞もできなくなってるんだな」
「かなり弱っている」
「だろうな、かなりへこんでるんだな」
「その通りだ。三日で治るのか不安になっている」
「じゃあ俺が行って来るな」
アンガは明るい顔で長老にこう申し出た。
「今からな」
「見舞いか?」
「世話もするさ。それに落ち込んでるんならな」
その姿になってしかも治るかどうか不安になっているからだというのだ。
「なって元に戻った俺の方がいいだろ」
「だからか」
「ああ、ちょっと行って来る」
一緒に踊っていた女房から離れて右の親指で自分自身を指差して言う。
「それじゃあな」
「そうだな、それがいいな」
長老も彼のその言葉に頷く。それがいいだろうと判断してだ。
それで行くとだった。実際にその少年ンマサ、小柄で鼻の丸い彼は落ち込んだ顔で寝ていた、当然何もかもが逆さまになってしまっている。
アンガはその彼の枕元に来てこう言った。
「次は御前か」
「ああ、アンガさん元に戻ったんだな」
「見ての通りさ。けれど今度は御前なんてな」
「三日で治ったらいいな」
いつもは元気なンマサは沈みきった顔で言葉を漏らした。
「いや、本当に」
「治るさ。俺がそうだったんだしな」
「だといいけれどな」
「まあ三日だ。三日の間大人しく寝ているんだな」
「飯とかどうすればいいんだろうな」
「安心しろ、三日位は何とかしてやるからな」
「アンガさんが面倒を見てくれるっていうのかい?」
ンマサはその不安そうな顔でアンガに問うた。アンガはその彼に明るい笑顔で答えた。
「そうだよ」
「いいのかい?そうして」
「その病気のことは知ってるしな、俺が一緒だと不安もかなり減るだろ」
「だからか」
「それでどうだ?」
「頼めるかい?それじゃあ」
「いいぜ。じゃあな」
アンガはンマサの言葉に笑顔で応えた。こうしてだった。
彼は三日間ンマサの世話をした。ンマサは三日経って元に
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