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SAO−銀ノ月−
涙雨
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しかなかったが。


「っ!?」

 虹架――レインへ最初に聞こえてきたのは、誰かの驚愕の声だった。ログイン場所の近くにいたプレイヤーが新人だったのかな……などと勝手に考えていたレインだったが、次の瞬間にはレイン当人がその立場となっていた。

「ふぇ……わわわ!」

「レイン!」

 瞳を開けたレインが最初に見たものは、吐息が交わるほど近い距離にいた男性プレイヤー。それが友人であるということに気づく前に、レインは驚愕から飛び退こうとしたものの、床にあった木箱に足を取られて勢いよく転んでしまう。どんがらがっしゃーん、という昔ながらの擬音が似合う転びようで天井を仰いで、ようやくレインは自分が何をしでかしたか気づくこととなった。

「そっか……わたし、ショウキくん家でログアウトしたんだっけ……」

「あー……大丈夫か?」

「……えへへ。ゴメンね」

 切れ長の男性プレイヤー――新しいアバターはまだ見慣れないが、ショウキから呆れたような声色とともに差し出された手を掴んで、何とかレインは素材まみれの場所から脱出する。木箱の中に入っていたのが鉱石系だったからまだマシだったものの、体液とかそういった素材ではなかったことを感謝しながら、煤を払いながらレインは彼に愛想笑いを返す。

「……ひとまず、片付けだな」

「……本当にごめんなさい」

「悪いと思ってるなら……そうだな。店の開店準備、手伝ってくれ。レインの意見も聞きたいし」

「う、うん!」

 リズと交代して準備してるのにさっぱり終わらない――という愚痴をしばし語るとともに、ショウキはレインに背を向けて床に落ちた大きめの素材を木箱に回収していく。思うさまバラバラにしてしまった当人であるレインも、それに習って散らばった素材を木箱に回収していくと、ふと、レインの口は勝手に言葉を紡いでしまっていて。

「……ねぇ。ショウキくんはさ、自分が最低だって思ったこと、ある?」

「…………あるよ」

 突如として意味も分からぬことを呟いてしまったことを、レインが訂正する暇もなく答えが返ってきてしまう。ただし返答してきたショウキは、素材の整理をする体でレインに背中を向けたままで――その姿は、顔も見ないでやるから何でも文句を吐けと、ショウキが不器用に言っているような気がして。

「……ありがと。わたしはね、ついさっきあったよ。自分が最低だって思うこと」

 ショウキから出された案がレインが先走ったせいで失敗したことも、何か悩んでいることも、どうやら彼にはお見通しだったらしい――と、レインは小声で礼を言っておきながら、無言の言葉に甘えて彼の背中に話を続けていく。少しは木が紛れるだろうと、自分がぶちまけてしまった素材を拾いながらも。

「わたしがやるはずだ
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