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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
正義の執行 A
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題がない以上、可能だ。もっと最悪の事態となる可能性。向こうが見て斬るのは私自身の罪ではないため軽減されるのは間違いない。自身が箱庭の敵となる可能性。それならそれで仲間が何とかすると信じる。

結論、やるだけの価値はある。返事をせず、準備は整った。あとはペンダントへ宣言を下すのみ。口を開き、息を吸って・・・

「なあ、そこの女神。そこで何をしてる?」

そこで。コミュニティのリーダーが帰還した。



 ========



帰還した一輝は状況を見て、そしてその姿を見て理解した。そこにいるのが女神ユースティティアであり、この惨状は彼女の手によるものであり、倒れている十六夜と傷だらけの耀は向うの手によるものであると。
だがそれでも。問わなければならない。手を出してくる様子の無い女神を見ながら耀の前まで移動し、問いかける。

「初めまして、女神ユースティティア。一応ノーネームのリーダーってことになってる鬼道一輝だ」
「あらあらこれは。初めまして、絶対悪の魔王・アジ=ダカーハを打ち倒し英雄よ。私は正義の理を預かり、それを執行する者に名を貸す女神、ユースティティアでございます。お会いできて光栄ですわ」

私服姿の20も生きていない少年に、女神は最大限の敬意を表した。それだけ彼女は彼を尊敬しているのだ。

「それで、ここには何をしに?」
「箱庭を脅かす人類最終試練がついえた今、さらなる危機は避けねばなりません。貴方様へその相談をしに来たのと、裁きを受けていない魔王を裁きに」

特に普段と変わらない様子を見せる一輝へ、女神はただ事実を伝える。会ってみたかっただけという感情も存在するが、言わなかっただけだ。

「ふぅん、対象としてはレティシアってところか。裁定の内容は?」
「罪状は言うまでもないでしょう。それに対して与えるべき罰は“死”です」

ここまで言われても、彼の表情、感情に変化はない。当然だ。レティシアがどうなっていようとどうでもよく、それ以上に彼の意識を向ける対象があるのだから。

「ふぅん。それはお前のさじ加減で?」
「まさか。正義は真に公平な立場から下すべきもの。私の主催者権限は発動から罰の決定までの間、私の意識を99%停止させます。その状態で下した決定をさらに、天秤で測る。これで決定したものです」

その発言でようやく、彼の表情に変化が現れた。しかし、彼女はそれに気付かない。

「なるほど。つまりお前の行いにお前の意識は存在せず、お前のエゴは介入せず、ただ公平に行った結果だと」
「ええ。それが私の主催者権限、私に与えられた役割でございます。貴方に会ってみたかった、という我儘(わがまま)もないではありませんが」
「へぇ、そうか」

ここで彼は、彼女の存在を完璧に理解した。どの
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