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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
正義の執行 @
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伐したその功績は誰のものかと問われれば、その戦争に参加したものは口をそろえて「金糸雀だ」と答えるだろう。それだけの功績を成した彼女はしかし、ある魔王によってそのコミュニティごと滅ぼされた。ユースティティアの言っていることはこれだ。

「立場上、そして保有している主催者権限の都合から外へ出ることはできなかった。そうと分かっていてもなお、それだけの正義を人間の身でありながら確立させた彼らを死なせてしまったことは・・・どれだけ後悔しても、したりませんもの」

その言葉は、黒ウサギには刺さった。かつての同士、共に過ごした仲間たちの死を悼むその様子は、下手をすれば泣きだしかねない案件である。
また、十六夜と耀もそれぞれに思うところはあった。育ての親と実の親、前者は外界での死であり、後者は未だに生きていると知っていてもなお、その身に起こった悲劇への態度だ。それを何でもないと流せるような人非人でもない。まあ問題児ではあるし、その他にも問題点はあるのだが、それはそれ。今回は議論しないものとする。
故に。話題を次へ進めたのは飛鳥だった。

「それで。冷淡に話を進めることになってしまうのだけど・・・結局のところ、何をしに来たのかしら?人類最終試練を踏破した二人目の人間を『死なせないために保護に来た』、というのであれば私たちも、そして私たち以上に一輝君自身がお断りしますけれど」
「まさか、そのような」

相手は神霊。故にその発想はぶっ飛んでいかねない。それ故に同盟や加入ではなく連れ去るという可能性を考えたのだが、相手は真っ先にそれを否定した。

「本人の望まない形で連れ去るなど。よほどの事態がない限り、そんな誘拐のような真似はできません。仮にも『正義の女神』としてあるものですから」
「・・・よほどの事情があったらするのね」
「その時は、まあ。そうしなければその存在によって平和が脅かされるというのであれば、殺しはともかく、管理程度は考えます。一般に罪あるとされる行為も、時と場合によってはそうでなくなる。明らかに罪ある行為だったとしても、親兄弟を殺された報復であれば、ある程度軽減されてしかるべきです」
「あら、箱庭の正義は基準が緩いようね」
「何でもかんでも頭ごなしに否定することは、正しき行いではありません。少なくとも私の中の基準とは相反しますから」
「失礼する。遅くはなったが、よろしければ」
「あら、どうもありがとうございます。レティシア・ドラクレア」

と、そのタイミングでレティシアが人数分の紅茶と茶菓子を持ってきたので、ユースティティアから話を断ちそれを受け取る。それなりに財政の豊かになったノーネームのメイド長が揃えたそれらの品は、まあ一応女神相手に出しても粗相にはならないだろうなというレベルのものだ。そして、それに文句を付ける性格もし
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