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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
正義の執行 @
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う。もしそれが真実なのだとしたら、対魔王の手段として最大のものであると考えていた顕現、黒ウサギをはじめとする月の兎が持つ顕現であるところの『審判権限(ジャッジマスター)』などとは比べ物にならない顕現だ。
それ故に、彼らは一つの疑問を抱かずにはいられない。
確かに魔王には、人類の乗り越えなければならない試練としての面が存在する。知らなければならない真実が隠されている。だがそれでも、被害が甚大になる前にどうにかする程度のことはできるのではないか、と。
そう問われるのは分かっていたのだろう。女神は、先んじてそれに答える。

「ですが、それをすることはできません。悪逆を尽くす魔王を前にしてしまえば必ず私の主催者権限が発動してしまう。ですがそれをしてはならない魔王が存在しましたから」
「・・・なるほど。そういや、何度も呼んでたっけか。ラスト・エンブリオ・・・『人類』最終試練」
「ああ、そういう・・・人類が乗り越えなければならない試練、だから」
「貴女はそれに会う可能性がなくなるまで、外に出るわけはにはいかなかった」
「ご理解いただけたようで助かります。心苦しくはありましたが、その一時の感情に任せて外界を滅ぼすわけにはいきませんので」

人類の乗り越えなければならない試練を、超越者の力で無理矢理に叩き潰す。箱庭においてそれが発生してしまえば、その終末が訪れることになっている外界では、当然の結果として終末がそのままに訪れる。外界が完全に滅び、箱庭はノーダメージ、とはならないだろう。

「だが、だとすればまだ退廃の風(エンド・エンプティネス)が残ってるだろうが。それについてはどう説明するんだ?」
「あれは例外的な魔王ですから。そも、魔王の烙印もその性質からやむを得ず押されたもの。あれが完全に表れた時点で箱庭の消滅であるという事実も存在しますが・・・絶対悪(アジ=ダカーハ)が討伐された時点でその可能性は限りなくゼロに近づきました」

だから問題なしとした、と。その話にはまだ聞いておきたいことが、特に退廃の風関連で存在したのだが、ひとまず飲み込むことにした十六夜。どうして今になって下層に来たのか、という疑問はこれで解決した。神霊が下層に現れることの難しさは知っているが、それについても何らかの理由が存在するのだろう。仮にその主催者権限が『悪への裁判』という性質であったとすれば、それを行うために下層へ降りてこられないこともないだろう。

「ですので、私はかつての後悔を再びしないために、こうして直接赴かせていただきました」
「かつての後悔?」
「ええ。かつて終末論の具現、人類最終試練の一つであるディストピアを下した金糸雀とその仲間たち。その滅びを知った時の後悔はそれはもう大きなものでしたから」

最凶の魔王、ディストピア。その魔王を討
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