第一章
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住職は宇宙人
長野県の些光寺は千年以上の歴史を誇る名刹だが次の住職は誰なのか、このことで現住職の和晃和尚は困っていた。
「子がないからのう」
「そうですよね」
「一体どうしますか?」
「次の住職は」
「誰に来てもらうか」
「それだね」
和尚は年老いた顔で弟子達に言うのだった。
「誰かに継いでもらいたいが」
「生憎私達もです」
「それぞれ継ぐお寺がありまして」
「実家の方が」
「ですから」
「わかっている、仕方がない」
弟子達の事情はわかっている、それで和尚も仕方ないと返した。
「もうな」
「掛け持ちになるでしょうか」
「私達のうち誰かが」
「そうなるでしょうか」
「ここは」
「いや、この寺は大きい」
だからだとだ、和尚は弟子達に返した。
「掛け持ちは無理だ」
「そうですね、では」
「このお寺を継ぐ人に来てもらいますか」
「そうなりますか」
「そうなるが」
しかしと言うのだった。
「誰がいるか」
「そう言われますと」
「どうにもですね」
「困りますね」
「我々は皆出来ませんし」
「総本山と話すか」
些光寺、宗派のそこにというのだ。
「そうしてみるか」
「それがいいですね」
「お師匠様にはお子様がおられないですから」
「養子を迎えましょう」
「ここは」
弟子達も同意してだ、そしてだった。
和尚は総本山に出向きそこで寺の跡継ぎのことで相談しお願いをした。すると法主はこう言ってきた。
「ではです」
「はい、それでですね」
「一人若い僧侶がいまして」
法主は和尚に穏やかな声で話した、和尚より少し年長の背筋がしっかりとした落ち着いた人物だ。
「その彼にです、まずは」
「拙僧がでるね」
「会って頂きそして」
そのうえでというのだ。
「決めて頂きますか」
「わかりました」
確かな顔でだ、和尚は法主に答えた。
「それでは」
「はい、では」
法主も応えてだ、そしてだった。
和尚はその若い僧侶と会うことになった、日をあらためてまた総本山に赴きそこで法主に間に入ってもらいその僧侶と会ったが。
その僧侶を見てだ、和尚は思わず驚いて言った。
「まさか」
「驚かれました」
「いえ、これは」
「はい、それでもです」
「優れた方ですか」
「学識も人格もです」
その双方でというのだ。
「和尚の跡を継がれるのに相応しい」
「そうした方ですか」
「そうです」
まさにというのだ。
「ですから」
「この方とですね」
「これからじっくりとお話をされ」
そしてというのだ。
「お決めになって下さい」
「わかりました」
他ならぬ法主の仲立ちだ、話はほぼ決まった様なものだった。だがそれでも和尚はあえて
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