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弱い人間
第六章
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何度か行っているうちにだ。
 少しずつ話をする様になった、詩乃は二人が思った通り確かに所謂嫌な人間だった。だが。
 何度か来ている二人にだ、こう言った。
「もうすぐ退院するから」
「そうか、それで学校に戻るか」
「そうするんだな」
「ええ、そしてね」 
 さらにと言うのだった。二人に顔を向けて。
「また。貴方達と話したいけれどいいかしら」
「いいさ」
 城太郎が微笑んでだ、詩乃のその言葉に応えた。
「何時でも話そうな」
「それじゃあ」
「好きなことを話せばいい」
 達夫は詩乃に確かな顔で言った。
「俺達でよかったらな」
「そうしていいのね」
「それで御前の気が済むんだったらな」
「それじゃあ」
「しかしな」
 ここでだ、城太郎は詩乃にこうも言った、病院のベッドに寝て半身を起こしている彼女に。
「御前もうな」
「もう。何かしら」
「人の話は聞けよ、あと後輩の子いじめたりな」
 詩乃に注意する顔で言っていく。
「酒飲みまくったり食わないとかな」
「そうしたことは」
「止めろよ」 
 こう言うのだった。
「いいな」
「さもないと」
「俺達はどんな話でも聞くけれどな」
 それでもというのだ。
「間違っていたら言うしな」
「そうしたことは」
「もうするなよ」
「さもないと同じことの繰り返しだ」
 達夫も注意する顔で詩乃に言った。
「御前またこうしてだ」
「病院に担ぎ込まれて」
「入院だ」
 そうなってしまうというのだ。
「またこうして入院したいか」
「いえ」
 俯いてだ、詩乃は答えた。
「誰も来てくれなかったしもう」
「だったらな」
「そうしたことは」
「二度とするな」 
 達夫は城太郎と同じことを言った。
「わかったな」
「ええ」 
 詩乃は頷いたまま二人に答えた。
「もう二度と」
「そうしろ、いいな」
「こうした目に遭いたくないから」
「そう思うならわかるよな」
 城太郎は俯いたままの詩乃にさらに言った。
「もうな」
「そうしていくわ」
 詩乃もわかった、そして実際にだった。
 もう二度といじめはせず人の話も少しであるが聞く様になった。酒も控えていった。そうしてある日二人に言った。
「あの時、私は弱かったのね」
「そうだよ」
「これ以上はないまでにな」 
 二人もその詩乃に応えた。そのうえでさらに言った。
「わかったな、それじゃあな」
「もう二度としないな」
「ええ・・・・・・」
 詩乃は力なく頷いた、三人で校舎の屋上で昼食を食べている時に言った。そして遠くを見たまま無表情で自分の昼食を食べつつ二人に言った。
「・・・・・・有り難う。教えてくれて」
「気にするなよ」
「気付けばいいからな」
 城太郎と達夫はその詩乃を見て
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