暁 〜小説投稿サイト〜
渦巻く滄海 紅き空 【下】
七 宣告
[5/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


いい加減不毛な言い争いを止めるべく、我愛羅と守鶴の間に割って入る。





「邪魔すんじゃねぇえええ!!」

ナルトの力で動けはしないものの、口だけは達者な守鶴が喚く。それを一瞥して、ナルトはわざとらしく肩を竦めた。
話し合いで済めば良かったのだが、そうも言っていなれない。手荒な手段に移らせてもらう。


「やはり所詮、一尾。九尾に比べれば品が無いな」
「……―――あ?」

ぶわりと毛が逆立つ。全身で不快感を露わにさせる守鶴に、ナルトはわざと挑発の言葉の数々を投げつける。

「力を始め、品の良さも心の広さも尾の数によって変わるのかな?九尾は人柱力に助力しているというのに」



尾の数を昔からずっと気にしている一尾『守鶴』。特に九尾に対しての対抗意識は強い。
その点を利用して、ナルトはわざと挑発めいた言葉を続ける。


「九尾は己の宿主に力を貸すという、広い心と器と強さを持ち合わせている。反してお前は……――」



そこであえて言葉を切って、わざとナルトは大きな溜息をついた。何も言わない事が更に守鶴の劣等感に火をつける。
押し黙り、怒りで全身の毛を逆立てる守鶴を、ナルトは涼しげな顔で見上げた。



「やはり『一尾は九尾には勝てない』という噂は本当だったようだ」



その一言は大いに効いたらしい。

凄まじい形相で守鶴はナルトを睨んだ。ナルトの術で動けないのが、更に守鶴の怒りを煽る。

膨らませてゆく濃厚な一尾の殺気に、ナルトは全く物怖じしない。
反面、守鶴の凄まじい殺意に、我愛羅は身体を強張らせて身動きできずにいる。



「これ以上話しても無駄だな―――行こう、我愛羅」

そう言うや否や、ナルトはパチン、と指を鳴らした。



その瞬間、溶けたはずの鎖が守鶴の足場である砂中から幾重にも出現する。
まるで鎖自体が意志を持っているかのように、ジャラジャラと音を立てて高く伸び上がったかと思えば、守鶴の身に纏わりつく。
何百本といった鎖が守鶴の身を覆い尽したかと思うと、それは当初と同じ茶釜へと変貌した。


寸前と全く変わらない釜の中へ封じられた守鶴は、忌々しげに唸り、喚く。
だが、ナルトは全く気にせず、我愛羅を悠然と促した。

ナルトが我愛羅を促してその場から離れようとするのを見て取って、守鶴は聊か焦りの雑じった声音で呼び止める。


「……ま、待ちやがれ……っ!!」


人知れず、口角を吊り上げたナルトの背に、守鶴は大声で喚き散らす。

「九尾のヤローにできて、この俺様ができないわけないだろーが!!バカにすんじゃねぇ!!」

上手く口車に乗せられているとも気づかず、守鶴は我愛羅をじろりと見据えた。



[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ