七 宣告
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だがそれはいのの単なる独りよがりだったらしい。
何か悩んでいるサクラがその悩みを打ち明けてきれなかった事や、何も言わず里抜けした事よりも何よりも、何も気づけなかった己自身がいのは許せなかった。
「サスケくんとサクラ、二人を取り戻すわよ」
一緒に、と言外に伝えられたいのの強い決意に、ナルは大きく頷いた。
前方で何やら話しているナルといの。
特に我愛羅奪還に必死になっているナルの背中をじっと見ていたチヨは、訝しげな視線をカカシに投げる。
「何故、あのナルという娘は他の里の我愛羅をあそこまで助けようとする?」
木ノ葉の里からの応援と言え、所詮、別里だ。自分の里の人間でもない相手を必死になって助けようと駆けるナルの強い想いを、チヨには理解できなかった。
チヨの疑問に、カカシは暫し眼を細める。
ほんの一時の沈黙ののち、カカシはナルの背中を見つめながら答えた。
「アイツも…――『人柱力』です」
思いも寄らぬ返答に、眼をみはったチヨに構わず、カカシは言葉を続けた。
「それも、『九尾』を封印された…―――我愛羅くんと同じですよ」
走る速度は落とさず、話し続けるカカシの言葉を聞き漏らすまいと、チヨは耳を澄ませる。
「ナルにとって砂隠れや木ノ葉といった里の違いは関係ないでしょう。しかし、砂隠れの誰よりも、ナルは我愛羅くんの気持ちがわかってしまう」
強大すぎる力には恐怖し、避け、畏怖するのが人間だ。故に、人柱力がどんな扱いを受けてきたか、どの里においても大差ない。
「だから、ナルにとって我愛羅くんは、同じ痛みを知る仲間なんです」
衝撃的な真実を告げながらも、カカシは幾分嬉しそうだった。ナルの背中を眩しげに、微笑ましげに見つめる。
「交わす言葉こそ少なくとも、誰かの心に寄り添い、その者と打ち解けられるのがナルなんです」
幼少期からの不遇な境遇にも耐え、辛さと痛みを乗り越えてきたナルだからこそできる所業であり、彼女の長所でもある。
誇らしげに語るカカシに、チヨは顔を伏せた。苦渋の表情を浮かべる。
「我愛羅に一尾を封じたのは、わしじゃ」
逆に衝撃の事実を知り得たカカシは、一瞬動揺したものの、顔には出さなかった。
「我が砂隠れの里の為、良かれ、と思ってしてきた行為だったが、間違いだったのかもしれない」
俯き加減で、半ば独り言のように、チヨは語る。
ややあって、チヨは顔を上げ、目の前を駆ける若い少女の――我愛羅と同じ人柱力であるナルを見やった。
「だが、今はどうだ?」
チヨの話に口を一切挟まず、カカシは無言で聞いていた。
飛び乗った木の枝の、ミシリ、とい
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