七 宣告
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を受けて納得するチヨに反して、ナルを気遣わしげに見つめていたいのは顔を顰めた。
極秘情報のわりには、里の人間はナルを九尾と同一視し、忌避していた。
幼少期から大人達から冷たい扱いを受けていたナルを、幼馴染であるいのは、ずっと傍で見ていたのだ。
幸い、いのの両親を始めとした幼馴染達の家族は皆、ナルに対しては優しかった。
他の里人のように、ナルを疎ましい存在だとはしなかった。
結局、人の口には戸が立てられないのを、あの頃の木ノ葉の里は体現していた。
ナルが九尾をその身に宿していると知っては、表向きには目立った暴行すら加えないものの、陰口か陰湿な行為は絶たなかった。もっとも、これでも随分マシになったそうだ。
ナルが四代目火影の波風の姓を名乗るその昔は、もっと酷い仕打ちを彼女は受けていたらしいと何処からか耳にしたことがある。
はたして何時からだったのか、幼少期よりも冷たく酷い仕打ちとは何だったのか、今となっては知る由もないけれど、幼馴染であるいのがナルの境遇に常日頃不満を抱いていたのは確かな事実だ。
ナルの不遇に真っ先に異論を唱えたのも、その原因に逸早く思い当ったのも、同じ幼馴染である某面倒くさがりなのは言うまでもない。
やるせない想いを抱いて、いのはナルと肩を並べた。
急に自分の隣へ跳躍してきたいのに、ナルは伏せていた顔を上げる。
「…私もナルが木ノ葉にいない間、ただ修行していたわけじゃないわ。綱手師匠の書斎に勝手に入り込んだり、外に出て調べられるだけ調べた」
ナルの顔を覗き込んだいのは、小声で「アンタの中にその尾獣がいるってのも、知っているわ」と何気なく呟く。肩を大きく跳ね上げたナルに気づかないふりをして、いのは話し続けた。
「でもだからって、私の大事な幼馴染で大切な友達なのは昔からずっと変わらない」
キッパリそう言い切ったいのは、動揺するナルの顔を真っ直ぐ見据えた後、前方へ視線を向けた。
「…調べたのは、九尾だけじゃないわ〜。サスケくん…そしてサクラが里抜けして向かった先――大蛇丸についても少しだけど調べた。アイツも、元『暁』のメンバーの一人だったそうよ…。だから『暁』に近づけば大蛇丸の情報も、そして…―――」
一度、息をついたいのは、強い眼差しをナルに向けた。
確固とした決意を告げる。
「おのずと、サスケくんにも―――あのバカサクラにも近づける」
いのは、親友であったサクラが自分に何の相談も無しに、サスケを追った事が許せなかった。
こう言ってはなんだが、うちは一族の生き残りであるサスケが天涯孤独の身であるのに反して、サクラには両親も家族も友達も仲間もいた。その中でも、親友の自分はサクラにとって気の許せる相手だと、いのは思っていた。
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